上写真=新井はチームで唯一、全試合に出場している(写真◎ジェフユナイテッド千葉)
「先を考えていたら頭が痛くなる」
川崎フロンターレからジェフユナイテッド千葉に加わった新井章太は、とても「大きく」なったように感じるのだが、実際は少し違うようだ。試合に出続けることで存在感を増している、と周りは見てしまうが…。
「個人としては本当に変わってないんですよ。去年までは出場機会を得られていなかっただけで、自分の状態は変わっていません。でも、結果に結び付けられないといけないと思いますし、勝負強さが必要で、自分にはそういうところを求めていきたい」
何か特別な変異が起こったわけではないのだが、だからこそ自分に足りないものも見えているようだ。唯一、全試合にフルタイム出場している立場としては、特に再開後にホームで3連敗中という不甲斐なさの原因を自分にも求めている。
「ホームで勝てないのは申し訳ない気持ちでいっぱいです。でもそれなら、アウェーで全部勝てばいいと思っています。もちろん、このままでいいわけではなくて、毎試合勝つ気持ちを持っていなければいけないという意味です」
「個人としては全部に出させてもらって、そんなに悪くはないと思っているんですけど、勝てていない。勝たせるためのゴールキーピングをもっともっとしていかなければと感じていますし、やれないことはないです。不運な失点も多いですけど、何か問題があると思っています。全体の切り替えの遅さでペナルティー・エリアに進入されたり、一人ひとりの判断ミスもあります。いまは耐えないといけない時期です。そういう試合でいかに勝ち点を取れるかでこの先が変わってきます。個人としてでもそうですけど、チームとしてやっていきたい」
言葉が一気に飛び出してくる。チームを勝たせられない自分への反省の思いが強いのだろう。
改善の方法は、やはり基本のところ。「球際で相手に勝てないとセカンドボールを拾えないわけで、1対1の局面にすべて勝っていかないと勝利は難しい状況になります。そこにベストを尽くすことでいい試合になるんです」
GKにとってはその基本が「勝たせるためのゴールキーピング」なのだ。ここから始まる超連戦でそれを実践していかなければならない。
「5連戦と言っても大事なのは1試合1試合。先を考えていたら頭が痛くなる」と笑うが、「だからいまは町田に勝つためにトレーニングしています。試合ごとに反省や収穫が出てくるので、一喜一憂せずにまとまってやっていきたい」と邪念を払う。
その町田はタイトな守備とハードな攻撃が持ち味だ。「最終的にゴールに飛んできたボールはすべて止めるつもりでいますし、そのための練習をしています。だから、問題ないと思います。町田にはいい選手がいるので、コースを限定してくれれば止める準備はしているといつもみんなに伝えています」
すべてを止めて勝利の道を先導する。ここからが「正守護神」の見せ場だ。