7月29日、明治安田生命J2リーグは第8節が開催された。水戸ホーリーホックはヴァンフォーレ甲府と対戦。前半に先制され、アレフ・ピットブルのゴールで追いつくも、1分後に再度勝ち越しを許す展開。それでも、試合終了間際に山口一真が同点ゴールを挙げた。

上写真=後半アディショナルタイムに同点ゴールを挙げた水戸の山口一真(写真◎J.LEAGUE)

■2020年7月29日 J2リーグ第8節(@Ksスタ:観衆978人)
水戸 2-2 甲府
得点:(水)アレフ・ピットブル、山口一真
   (甲)太田修介、松田力

「負けていい試合なんてない」

 敗色濃厚のチームを救ったのは、10番を背負うアタッカーだった。後半アディショナルタイムに、MF外山凌のクロスにFW山口一真が右足で合わせ、ゴールネットを揺らした。

「凌くん(外山)のことをずっと信じていたし、僕はただスプリントしただけです。良いクロスに反応できた。あれは凌くんの点だと思います。同点という形でも、追いついて勝ち点を拾えたことはよかった」

 この日、水戸は前半に2失点を喫し、常に追いかける展開を強いられた。「相手の勢いにのまれたわけではないだろうけれど、前半にああやって2失点したのは問題」と山口が言うように、甲府に試合の主導権を握られた。戦局を変える交代カードとして、外山、DF乾貴哉と共に、後半開始からピッチに投入された。

「(秋葉忠宏)監督が期待しているのはゴールだと思うし、自分もゴール以外のことは考えていない。(この試合も)点に絡む動きを意識しました」

 3-1-4-2システムの攻撃的な中盤の位置に入ると、持ち前のドリブルやパスで前への推進力を見せた。この日、26歳の誕生日を迎えた阪南大学時代の先輩でもある外山と共に、左サイドを制圧。後半だけでチーム最多4本のシュートを放つなど、ゴールへの意欲を示した。

「今日はたまたま点を取れたけれど、正直、そんなに調子よくなかった。人間なので、(調子が)いいときも、悪いときもある。けれど、悪いときこそ、どう結果を出していくのか。それが、プロで生き残るカギだと思うし、僕は前線の選手なので結果にはこだわっていきたい」

 前節新潟戦は山口も先発出場するも、完封負け。甲府に敗れていたら2連敗となるところだったが、土壇場でそれを阻止し、チームに勝ち点1をもたらした。

「僕はサッカーを始めてから、誰にも負けたくない気持ちで毎日トレーニングしている。負けず嫌いなので、いつでも負けていい試合なんてありません。絶対に勝利したい気持ちは僕以外の選手一人ひとりにもあると思うので。次もしっかり(試合に)出て、結果を残すだけ。結果を残せる自信はあるので、絶対に点を取ったり、アシストしたりして、チームを勝利に(導く)。次は絶対に勝つことが目標なので、また練習していきたいです」

 自ら認める「負けず嫌い」な10番は、自身のゴールで水戸をさらなる高みへと導く。

現地取材◎サッカーマガジン編集部 写真◎J.LEAGUE