明治安田生命J2リーグは7月25日に第7節を迎え、大宮アルディージャは松本山雅FCを迎えた。お互いに相手守備を崩せないまま0-0の状態が進んだが、投入したばかりの交代選手が決勝ゴール。大宮が連敗を脱した。

上写真=イッペイ・シノヅカ(左)と鈴木雄斗のバトル。拮抗した試合になった(写真◎J.LEAGUE)

■2020年7月25日 J2リーグ第7節(@NACK:観衆2,465人)
大宮 1-0 松本
得点:(大)戸島章

松本は「プラン通りだった」のだが…

 前半から一進一退。0-0のまま膠着状態が永遠に続くかと思われた68分に、交代選手がど真ん中をぶち破った。

 大宮アルディージャは65分に黒川淳史と戸島章がピッチに送り込まれた。ここに今季初スタメンの奥抜侃志が絡んで、見事なコンビネーションから虎の子の1点を奪いきったのだ。三門雄大から引き出して黒川が奥抜に預け、戸島にくさびのパス、落としを奥抜が受け、右横の黒川へ、左回りにきれいにターンして右前に走り抜けていた戸島へ。

 そして、戸島は右足を思い切り振り抜いて右上のコーナーに突き刺し、移籍後初ゴールを決めたのだった。

 松本山雅FCの守備は評判通りに堅かった。守備になると最終ラインに5人が並び、その前に4人が横に列を組んで隙間のない城を築く。大宮は前半から右に左にボールを動かして穴を探すが、なかなか入り込めない。だがそれは、逆もまったく同じ。大宮も同じように5と4の壁を築いて松本の進入を許さない。にらみ合いのような、あるいはどちらも思うように懐に潜り込めないもどかしさを抱えながら前半を終えた。

 松本は布啓一郎監督が振り返ったように「前半をロースコアで折り返すのはプラン通り」だった。しかし、後半になると徐々に大宮が主導権を握るようになる。高木琢也監督がハーフタイムに「とにかくゴール前にパワーを持って入っていこう」と選手を送り出した指示が現実となっていき、奥抜がドリブルでカウンター気味に持ち込んだ54分のプレーを一つのきっかけにして押し込むと、ゴール前でのチャンスを増やしていった。

 そして、68分の決勝ゴール。交代選手を送り出した直後の一発だったから、高木琢也監督の采配ズバリというわけだが、「1トップ(戸島)と2シャドー(奥抜と黒川)の距離感が良かった」と3人で堅牢な壁に風穴を開けたことを高く評価した。

 大宮はこれで連敗を脱出、4節の東京ヴェルディ戦以来の勝利として首位のV・ファーレン長崎を追走する2位をキープ。松本は敗れはしたもののまだ2敗目で、布監督も「悲観はしていない」としており、若手に経験を積ませることもできた収穫の多い黒星になった。

現地取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE