明治安田生命J2リーグの第5節、モンテディオ山形戦で今季初勝利を手にしたザスパクサツ群馬。次は連勝を目指すが、対戦相手は松本山雅FCだ。昨年まで所属していた岩上祐三にとって古巣への帰還となる一戦でどう戦うか。

「僕たちからもアクションを」

 うれしい今季初勝利は、5節のモンテディオ山形戦で手に入れた。3-2の結末にさぞや喜びもひとしお…と思ったのは間違いのようで、岩上祐三は「連戦中なのでうれしいという感覚はないんですよね。まずは疲労回復を意識しているので。もちろん、うれしいですけど、それほど考えてはいませんでした」と怖いほど落ち着き払っている。

 その山形戦でとりわけ重要だったのは、3点目だった。2-0としたあとに追撃の一発を食らい、2-1と迫られたのだが、その6分後に突き放すことができたからだ。その41分の貴重なゴールをお膳立てしたのが、岩上だ。右サイドで相手のプレスを短いパスでかわしながら前進、高い位置まで進入したところでパスをもらって送ったクロスが、ニアサイドに突っ込んできたで進昂平にぴたりと合い、ヘッドで流したボールはゴール左へと吸い込まれていった。

「あのシーンの前に、ニアで引っかかったシーンがあったんです。だからもっとニアに入ってくれと言っていて、それでいい感じに決まりました。ニアに入られるのはどのチームでも嫌だと思うので」とコミュニケーションの結実を喜んだ。「3-1で折り返すのと2-1で折り返すのはだいぶ違います。後半は相手が押し込んでくるのは分かっていたので、3-1にできてよかったです」。確かに終了間際にもう1点返されたから、岩上のアシストからのゴールがなければ初勝利はお預けだったかもしれない。

 ただ実は、勝てていない中でもチームに過度のネガティブさは感じられなかった。

「なかなか勝てていないときにこんなことを言うのもなんですけど、やれていると思いますね。攻撃でも握るところは握ることができているし、相手が握ったときにうちがどう取りに行くか、というところが今後の課題ですね」

 手応えをぶつけつつ課題を解消するのが、次の松本山雅FC戦だ。ご存知の通り、岩上が昨年まで所属していた古巣。

「特別な思いはあります。観客の制限もあるので寂しいですけど、(松本のホームスタジアムの)アルウィンでやるのはうれしく思います。1万人が入るスタジアムなので、その中でアウェーチームとしてやりたかった思いはありますけどね」。敵チームを圧する松本のファン・サポーターのパワーを、これまでと逆の立場で浴びてみたかった。その願いはかなわないが、どちらにしても難しい相手であることは間違いない。

「相手はターンオーバーでメンバーを代えていたようですし、コンディションの違いはあると思いますが、この前の試合で勝った勢いをアウェーでも持っていければと思います。山雅は最後まで戦ってくるチームなので、それを受けないで、僕たちからもアクションを起こしてやりたいですね」

 その活躍で、アルウィンのスタンドから拍手すらも封印してみせる。