上写真=ロメロ・フランク(白)を囲む町田の選手たち。バチバチと音が鳴る激しいバトルがあちこちで繰り広げられた(写真◎J.LEAGUE)
■2020年7月15日 J2リーグ第5節(@Gスタ:観衆508人)
町田 3-3–新潟
得点:(町)ジョン・チュングン、吉尾海夏、高江麗央
(新)田上大地、舞行龍ジェームズ、本間至恩
交代:(町)ジョン・チュングン→安藤瑞季(60分)
中島裕希→李漢宰(68分)
高江麗央→マソビッチ(90分)
吉尾海夏→ステファン(90分)
(新)マウロ→ペドロ・マンジー(46分)
島田 譲→秋山裕紀(46分)
ロメロ・フランク→本間至恩(67分)
渡邉新太→高木善朗(79分)
「エキサイティングで熱の入った試合」
サッカーの不可思議さが雨の中で顔を出した90分だった。
前半はFC町田ゼルビアのパーフェクトゲーム。アルビレックス新潟が守備の意識を強めるメンバー構成による5バックで臨んできたが、あざ笑うかのようにいきなり2分に打ち砕く。吉尾海夏の右からのFKがこぼれたところをジョン・チュングンが蹴り込んでいきなり先制した。
町田はその後も、鋭い出足から「面」で奪いに行くローラープレスを敢行。これがことごとくはまって主導権を握り続ける。37分には中盤で3人でボールを囲んで強奪、佐野海舟が右に展開し、受けた吉尾がカットインして左足でカーブショットを放つと、これが濡れた芝の上を滑るように走っていき、左ポストを叩いてそのまま追加点となった。この勢いは後半も変わらないだろうと思わせるほど、余裕の試合運びだった。
守備から入って試合を安定させるつもりだった新潟は、いきなりプランが崩れて苦しんだ。それを払拭しようとハーフタイムに2人を代えてきた。センターバックのマウロとボランチの島田譲という守備に強さを発揮する2人を、FWペドロ・マンジーと攻撃の潤滑油になるボランチの秋山裕紀にスイッチして、選手の並びも4-4-2へ。これで息を吹き返した。今年の新潟の持ち味であるボールローテーションが甦り、あれだけ効いていた町田のプレスを空転させていく。53分には田上大地が目の醒めるようなFKを突き刺して早々に追いつくと、逆襲を開始した。
町田が前半に見せたプレスのパワーが突如として弱まって、新潟が落ち着いてボールを動かすという、前半とはまったく別のゲームが展開されていく。75分には右CKから最後は舞行龍ジェームズが押し込んで、ついに新潟が同点に追いついた。
ただ、町田も死んだわけではなかった。84分には右CKで平戸太貴が低いボールをマイナスに転がし、ペナルティー・エリアの少し外から高江麗央がダイレクトでゴール右に丁寧に流し込むビューティフルゴール。追いすがる新潟をセットプレーで突き放すことに成功した。
しかし、これでエンディングとはいかないのがこのゲーム。89分には新潟が右サイドにボールを展開、大本祐槻の入れたクロスがこぼれたところを、途中投入されていた本間至恩がそのまま豪快に右足ボレーで叩いて突き刺し、3-3とした。
前半の勢いが後半は逆転し、取って取られての乱打戦。町田のポポヴィッチ監督は「両方で6点入ったので、来てくださったお客さんにとってはエキサイティングで熱の入った試合だったのではないか」「3-3がふさわしいかは皆さん(報道陣)にお任せしたい」と評価。新潟のアルベルト監督も「アウェーでの勝ち点1は悪くはない」としながらも「勝ち点3を常に求めなければいけない」と、どちらも勝利に値したという自信は持ち帰った。
現地取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE/Getty Images