7月11日、J2第4節の栃木SC戦では0-1で苦杯をなめる結果に終わった。しかし、ここから連戦だから下を向いてばかりもいられない。左サイドバックとしてサイドアタックの一翼を担う下平匠が考える前進のポイントとは?

蹴り合いが長く続いてしまった

 90分で0-1という栃木SC戦をたった一言でまとめてしまうのは乱暴だが、あえて言えば「相手の術中にはまってしまった」ということになるだろうか。左サイドバックの下平匠も悔しさをにじませる。

「相手はロングボール主体でしたから、自分たちはその背後を取って、相手陣地に押し込んで攻めていこうと思っていたのですが、蹴り合いが長く続いてしまって相手陣内で動かす時間が少ないまま、90分を終えてしまいました」

 敗因はきちんと整理されている。相手のロングボール戦術に対して準備した裏を取る攻撃が機能しなかったこと。ましてやこちらが相手のやり方に合わせる格好になってしまったこと。相手のストロングポイントを消すというよりむしろ、相手の舞台で戦ってしまったというのが実感のようだ。

 34分に矢野貴章に先制されたので、尹晶煥監督はハーフタイムからカードを切った。船山貴之、川又堅碁を後半開始から、見木友哉を68分から、為田大貴を79分から投入して圧力を高める。しかし、1点が遠かった。

 ここから中3日の3連戦。連敗は許されない。攻撃の課題を次のツエーゲン金沢戦に持ち越したくない。下平自身はオーバーラップから左サイドを崩し、自慢の左足を生かしてクロスを供給するのが攻撃の大きな役割だ。

「自分のところではこの前の試合では精度に問題がありました。中の選手の動き出しのこともありますが、クロスを上げる前にもうひと手間かけて、もう一つ深いところに入っていくのも大事になってくると思います」

「サイドでもう少し人数をかけるところは必要かもしれません。シンプルに上げるのももちろん大事ですけど、一度サイドで角を取ってから逆サイドに変えたりというような形もあっていいと思います」

 やや単調になりがちなサイドアタックの改善。それが下平の考える前進のポイントだ。右はサイドバックの田坂祐介とサイドハーフの米倉恒貴で組む縦のラインが機能し始めていて、左も下平と堀米勇輝、あるいは栃木戦の後半から入った船山との連係はポイントになってきそうだ。

「金沢はマンツーマンで守備をするのが特徴で、一つポイントになるかな」

 次節の相手、金沢の特徴的な戦術の裏を取る青写真は、その頭に描かれているようだ。