7月10日のJ2リーグ第4節、ファジアーノ岡山とギラヴァンツ北九州の一戦は、Jリーグ再開後初めての有観客試合。岡山の有馬監督は観客の存在の大きさを強調し、ファン・サポーターの前で試合ができる喜びを語った。

上写真=9日の前日練習で最終調整を終えた有馬監督(写真◎石倉利英)

再開後初の有観客試合

 新型コロナウイルスの影響による各種イベントの開催制限が7月10日に緩和された。Jリーグは同日19時から岡山市のシティライトスタジアムで行なわれる、ファジアーノ岡山対ギラヴァンツ北九州のJ2リーグ第4節が、再開後初めて観客を入れた試合となる。

 9日の前日練習終了後、岡山の有馬賢二監督は再開後2試合のリモートマッチを振り返り、「離れていても、いろいろな形で応援は届いていました」と語った。一方で「Jリーグで最初に、同じ空間で後押ししてもらえる。本当に楽しみで、それがホームの良さ。心強い仲間と一緒に戦えるのは楽しみだし、ありがたい」と続け、有観客試合となる北九州戦への思いを強調している。

 有馬監督がファン・サポーターの存在の大きさを感じたのが、再開初戦となった6月27日の第2節、ホームでのレノファ山口戦だったという。岡山は52分までに0-2とされたが、56分にFW清水慎太郎、74分にFWイ・ヨンジェが決めて追い付いた。「0-2から2-2に追い付いて、残り15分なら、おそらく押せ押せムードになると思う。カメラの向こうに皆さんがいることは選手にも伝えていたし、僕もそれは感じながらやっていますが、実際に姿があれば、また違う」。試合は2-2の引き分けに終わったものの、観客の後押しがあれば逆転できたのでは、との思いをにじませた。

 観客が声を出して応援することや、手拍子などは禁止されるため、これまでと同じような後押しは期待できない。それでも有馬監督は「戦う空間に一緒にいてもらえるのは心強い」と語り、「大きな声をあげることはできなくても、たとえば選手が得点を決めてガッツポーズをする姿を見てもらえれば、一緒に喜んでくれていることは当然、分かる」と強調。練習前のミーティング、さらに練習を締めくくる際も「選手として一番の喜びをJリーグで最初に感じられる権利を持っているんだ、と選手たちに伝えた」という。

 相手の北九州は開幕2連敗の後、前節にJ3リーグからの昇格後初勝利を挙げている。「前から激しく全体でプレッシングをかけてくる」と相手の特徴を挙げた有馬監督は、「どのチームと対戦するときもチャレンジャーだ、と言っている。リスペクトし過ぎず、でも戦いを挑んでくる相手に、我々も牙をむかなければいけない」と語り、有観客試合での再開後初勝利に向けて気持ちを高めていた。

取材・写真◎石倉利英