7月5日、明治安田生命J2リーグの第3節が開催され、栃木SCは東京ヴェルディと対戦。試合は後半早々に榊翔太がPKを決めるも、その後に追いつかれて引き分けに終わった。先制ゴールを挙げた榊が、本拠地・栃木県グリーンスタジアムでの今季初戦を振り返った。

上写真=先制ゴールとなるPKを蹴る榊翔太。バックスタンドにはサポーターの顔写真も(写真◎J.LEAGUE)

■2020年7月5日 J2リーグ第3節(@栃木グ)
栃木 1-1 東京V
得点:(栃)榊翔太
   (東)佐藤優平

無観客のホーム開幕戦。「後押しされている感じは伝わってきた」

 2月のJ2開幕戦(長崎戦)、1週間前の再開初戦(山形戦)と、ともに0-1で敗れた。アウェーでの戦いが続いたとはいえ、2試合連続完封負けは栃木にとって受け入れ難い結果だろう。そのため、今季初めて、本拠地である栃木県グリーンスタジアムで迎える一戦は、是が非でもゴールと勝利を手に入れたかった。

「ホーム開幕戦だったので、絶対に勝ちたい思いと、フォワードなので点を取りたい気持ちがありました」。今季初めて先発のピッチに立ったFW榊翔太は、強い思いを胸にチームの初勝利を狙った。

「自分が(出場メンバーに)入ったということは、セカンドボール(の回収)だったり、プレスバックを求められていると思った。相手が少しでもやりにくいように、と考えながらポジションを取っていました。そういう部分では、結構相手は嫌がっていたんじゃないかと。守備の部分はよかったと思います」

 FW矢野貴章と2トップを組み、東京Vのビルドアップを阻止すべく、前線で精力的に走り回った。献身的な働きが実を結んだのは後半立ち上がりの49分。「(矢野)貴章さんがよくプレッシャーをかけてくれて、アキ(明本孝浩)が(ボールを)奪って、PKを取ってくれた」。榊も加わった前線での連動したプレスが相手のパスミスを呼び、明本のシュートが相手DFのハンドを誘ってPKのチャンスを得た。キッカーを務めたのは、榊だった。

「僕がPKを任せてもらって、絶対に決めなくてはいけなかった。相手のキーパーが結構ボールを持っていたので、自分のリズムで蹴りたいなと思い、2回くらい(ボールを)置き直しました。焦らないで、しっかり(相手GKの)動きを見て、蹴りたいなと思っていました」

 冷静に相手GKの逆を突いたキックでゴールネットを揺らし、待望のチームの今季初ゴールとなる先制点が生まれた。「みんなでまとまって取れた1点だと思うので、すごくうれしかったです」と、榊は満足げに振り返った。

 ただ、ほかの攻撃の場面では「ボールを奪った後にミスを減らしていければ、もっとチャンスは増えると思う。攻撃の部分でもっと違いを出したかった」と、課題も残る。チームは先制した後に同点に追いつかれ、ホームで今季初勝利を手にすることはできなかった。

「(バックスタンドに)みんな(ファン・サポーター)の顔写真が置いてあったり、普段通りの応援の音を(スタジアムに)流してもらったり、すごく後押しされている感じは伝わってきました。みんなはテレビで見てくれていただろうし、すごく力になったので、次はしっかり勝ち切れるように頑張っていきたいです」

 次回のホームゲームは10日後(7月15日)の大宮戦。栃木県グリーンスタジアムに12番目の戦士たちを迎え入れることができるであろう一戦で、榊はひたすらに勝利を目指す。

現地取材◎サッカーマガジン編集部 写真◎J.LEAGUE