待ちに待った再開だ。J2は6月27日に第2節を開催、ヴァンフォーレ甲府はアルビレックス新潟をホーム迎えた。前半からゴールラッシュとなるシーソーゲームは、甲府が劇的同点弾で勝ち点1を最後にもぎ取った一戦になった。

上写真=互いに一歩も譲らず川中島ダービーは打ち合いの末、3-3の引き分けに終わった(写真◎J.LEAGUE)

■2020年6月27日 J2リーグ第2節(@中銀スタ)
甲府 3-3 新潟
得点:(甲)ドゥドゥ2、太田修介
   (新)渡邉新太2、シルビーニョ

交代:(甲)山田→山本英臣(46分)
      J・バホス→ハーフナー・マイク(62分)
      泉澤→太田修介(62分)
      ドゥドゥ→金園英学(72分)
      河田→岡西宏祐(80分)
   (新) 高木→本間至恩(61分)
      堀米→早川史哉(69分)
      ロメロ・フランク→シルビーニョ(70分)

交代選手が結果を残したのは次につながる(伊藤監督)

 甲府vs新潟の「川中島ダービー」。キックオフ時点でも気温28.3度、湿度60%というシビアなコンディションで迎える再開初戦となった。2月の開幕戦から甲府は5人、新潟は4人が入れ替わった先発メンバーが、長かった中断を思い起こさせる。

 空白を埋めるようにバックスタンドに130を超えるスポンサーバナーを掲示して、リモートマッチならではの「装飾」を施し、スピーカーからは録音してあったサポーターの声援を流す演出の中でのゲームは、ボールの音、選手の声、肉体のぶつかり合う音がダイレクトに響いた。

 再開への意欲が弾けるように、前半から点の取り合いだ。右サイドを中心に攻撃を組み立てる新潟が19分、その右サイドを使った細かいパスの連続からファビオをポストに使った渡邉新太が右足を振り抜き、ゴール左に突き刺して先制。今度は甲府が33分、泉澤仁の左からのクロスをドゥドゥがヘッドで押し込んで同点とし、直後の35分には新潟のミスを拾ったジュニオール・バホスが中央に流すと、走り込んだドゥドゥが左足を強振して一気に逆転した。

 これでは終わらず、アディショナルタイムの45+1分には新潟が秋山裕紀の美しいミドルパスを、またもや渡邉新が右足でワンタッチゴール。お互いに持ち味を出して白熱の前半を2−2で終えた。

 交代枠が5人までとなった特別ルールがいきなり功を奏したのが後半だ。ともに前半の反省を修正して堅い入りとなったが、新潟は本間至恩、シルビーニョとミッドフィールドの技術力をさらに高める2人を投入する攻撃的な采配でリズムを引き寄せると、ついに81分に、その本間が中央で巧みなターンから華麗なループパスを送って、シルビーニョが叩き込む勝ち越し弾を決めた。

 甲府はハーフナー・マイク、金園英学というターゲットマンを次々と送り込み、4−2−3−1だったフォーメーションを4−4−2とし、パワープレーに切り替え。これでじわじわと攻めに転じると、最後の最後に実った。90+4分に左からの内田健太のロングスローを金園がヘッドで中央に送ると、後半から登場していた太田修介が飛び込んで胸で押し込む土壇場の同点弾。

 伊藤彰監督は勝ちを逃しはしたが、アディショナルタイムで追いついたことを、「交代で入った選手が結果を残したのは次につながる」と前向きに評価した。

現地取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE