「今はJ1に行くと口に出して言える」
ーーそんな水戸というクラブに在籍し、今季で22シーズン目を迎えました。本間選手にとって水戸はどのような存在ですか。
本間 このクラブは僕の歴史ですね。来たばかりのころは、こんなに長くいるとは思いませんでした。チームが(JFLから)J2に上がっても、環境面などはすごく大変で……。土のグラウンドで練習したり、時にはゲートボールしているおばちゃんの横でトレーニングしたり(笑)。苦しい時間もあった中で、「もうこのクラブはダメなんじゃないかな」と思うときもたくさんありました。
でも、地元のクラブだし、この街で結婚して、子どもも生まれた。震災(東日本大震災)も経験しました。このクラブに関わる人たちの思いもすごく強く感じています。それに、本当に苦しい中で戦った仲間だったり、これまで体を張って血と汗を流して頑張ってくれた人たちに誇りを持ってもらえるクラブに僕がしていかなければいけない。そういった使命もあります。
ーー誇りに思ってくれる人が増えている印象を受けます。
本間 苦しかったクラブが、ちょっとずつでも良くなってきて、今は「J1に行く」と口に出して言えます。昔はそういうことを恥ずかしくて言えなかったんですけれどね(苦笑)。J1へ、本当にあと一歩、二歩というところまで来ている。このクラブで、J1昇格をつかみ取りたいです。
ーー他のクラブとは違う水戸の特長は何でしょうか。
本間 何と言っても、サポーターとの距離感。めちゃくちゃ近いし、友達みたいな感じです(笑)。新しく入った選手やレンタルで来た選手はビックリするけれど、僕はすごく気に入っているし、このクラブのすごく良いところだと思っています。
ーーでは、トレーニングも非公開が続き、サポーターの存在を再認識したのでは?
本間 いつもここ(練習場のアツマーレ)に来てくれていた人たちはみんな顔見知りなので、トレーニングをしていても、ふと「元気かなあ」と気になりますね。交流の場がないことは、なかなかつらいところだけど、世界全体がそうなので、何か新しい交流の形を見つけていければいいのかなと。コロナ禍以前に近い日常が早く戻ってくればいいなと願うだけです。それは、さらにこれからもまた感じるでしょう。お客さんがいないところで試合をすることで、どれだけそういう人たちのパワーがあったのかということを感じると思います。