Jリーグが帰ってくる。J1は7月4日から、J2とJ3は6月27日からリーグが再開(開幕)する。4カ月間、待ち望んだ試合を前に、サッカーマガジンWEBも参加する「DAZN Jリーグ推進委員会」で、18媒体横断企画を実施した。全56クラブの選手・監督・関係者にインタビュー。「THIS IS MY CLUB - FOR RESTART WITH LOVE-」をテーマに話を聞いた。水戸ホーリーホックから登場するのは在籍22年目のレジェンド、本間幸司。そのクラブ愛と熱い思いを感じてほしい。

上写真=練習から一切、手を抜かず、チームを鼓舞する本間(写真◎サッカーマガジン)

「クラブ力は上がったんじゃないかな」

ーー現在のチームの状態はいかがですか。

本間 選手のコンディションには、多少ばらつきはあると感じます。ただ、(チームの活動が)再開してから結構厳しいトレーニングをこなしてきたので、コンディションはみんな上がってきたと思います。

ーー昨季はあと一歩のところでJ1昇格プレーオフに進出できませんでした。今季に懸ける思いは強いと思いますが、開幕早々リーグ中断を余儀なくされました。

本間 (昨季最終節の)悔しい思いを経て、今季に入りました。キャンプが終わって、開幕戦を戦って、「これからだ」というときに中断となってしまった。最初は、僕も結構ネガティブになっていましたね。「自分に何ができるか?」と考えるのですが、自分の無力さを感じて、ちょっと落ち込むときもありました。この外出自粛期間をチャンスととらえて、自分のために頑張ってきた選手もいるだろうけれど、特に若手にとってもちょっと難しいところはあったんじゃないかな。

ーー開幕後のリーグ中断は、2011年の東日本大震災のときも経験されています。

本間 震災のときも本当に大変でした。まだ苦しんでいる人もたくさんいますよ。あのときは僕たちが手を差し出しやすい状況でした。僕らは普段から体を動かしていて、力もあるので、物資や荷物を運んだり。何かできることを見つける、と言うよりも、できることを見つけやすかった。

 だけど今回は、コロナという敵も見えないし、なかなか自分たちのできることを見つけにくい状況だったので、最初は「うーん、何ができるのかな?」と考えましたね。その中で、まずは自分の周りにいる人たちをしっかり守ってあげたり、そういうことから始まって、それからサポーターへ向けたことだったり、クラブとの行動だったり、できることがちょっとずつ広がっていったという感じです。

ーー中断期間はSNSでの積極的な発信が目につきました。

本間 僕だけでなく、チームの全員が「こういうときに何ができるか?」と考えたのでしょう。僕らはサッカー選手なのだけれど、サッカーができないわけで。でも、応援してくれている人がいるのも事実。サポーターや、こういうときでも支援してくれるスポンサーがいるので、そういった行動を起こすべきです。そういうことって、だいたいクラブ主導で、選手が手伝って、という感じなんですけれど、そうならなかったことが良かった。選手からもクラブに対して意見があったり、お互いにやり取りをして、かなり良いものができました。

 また、そういったやり取りの中で、クラブのスタッフの思いとか、結構感じましたね。(テレビビデオ通話の)画面越しですけれど、すごく熱い思いを話すこともたくさんありました。選手とクラブがいろいろな思いを共有したり、話し合ったり。すごくクラブ力は上がったんじゃないかなと思います。それまでは、クラブの中の人たちの思いを聞く機会が少なかったので、今回だけのことではなく、この先にもつながりそうな良いコミュニケーションにはなったのかなと。そのことを強く感じますね。