Jリーグが帰ってくる。J1は7月4日から、J2とJ3は6月27日からリーグが再開(開幕)する。4カ月間、待ち望んだ試合を前に、サッカーマガジンWEBも参加する「DAZN Jリーグ推進委員会」で、18媒体横断企画を実施した。全56クラブの選手・監督・関係者にインタビュー。「THIS IS MY CLUB-FOR RESTART WITH LOVE-」をテーマに話を聞いた。ファジアーノ岡山から登場するのは、岡山一筋12年目の守護神・椎名一馬。口にする言葉には、クラブ愛とJ1昇格に懸ける思いが詰まっている。

「意識が変わってきている」

リハビリに励む椎名。総力戦となるシーズンを戦い抜くために一刻も早い復帰を目指す(写真◎ファジアーノ岡山)

――ファジアーノは今季、有馬賢二監督が就任して2年目のシーズンです。

椎名 前監督の長澤徹さんの時代は殻を破り切れない選手が多かったですが、有馬監督に代わり、各々が殻を破り始めている段階だと思います。昨季も途中までは良い位置につけて、J1参入プレーオフ、あるいは自動昇格にも手が届くか、というところまでいきました。今季は例年とは違うシーズンですが、チーム全体で殻を破れれば、チャンスがあるのではないかと思っています。

――ファジアーノはJ1昇格に、なかなか届かないシーズンが続いています。あと一歩を踏み出すために、何が必要だと思いますか?

椎名 殻を破ることに加えて、もう一つ、誰かがケガをしたときに、それまで控えだった選手が出て、活躍することが必要です。昨季は上田康太、濱田水輝、田中裕介、仲間隼斗(現柏レイソル)などがケガで戦列を離れました。サッカーは11人だけで戦うわけではないので、試合に出ていない選手が出ている選手を突き上げる強さがないと、J1には昇格できないのではないかと感じています。

――有馬監督は練習でも、選手に厳しい要求を課していますね。

椎名 有馬監督の厳しい言葉で、若い選手たちを中心に全員が危機感を持ってプレーしていて、選手の意識が変わってきているのは、いいことだと思います。「このままでは試合に出られないぞ」と、はっきり言ってくれますから。いくら頑張っても、プレー内容が伴わなければ試合に出られないのが、プロの世界です。全員が1回1回の練習や、一つひとつの試合、与えられた時間で必死にやっているのが見えますし、それがチームの強さに変わってきているのは事実だと思います。

――椎名選手は残念ながら3月に右ひざの前十字靭帯を断裂し、4月1日に手術を行ないました。全治6カ月の見込みでリハビリ中ですが、現在どのくらいプレーできていますか?

椎名 歩くことができるようになり、少しずつジョギングや、椅子に座ってのセービングなどを始めています。

――しばらくプレーはできませんが、チームの一員として声を掛けて、仲間を盛り上げていくことは意識していますか?

椎名 そういう気持ちもありますが、本来なら同じ練習をした上で声を出すべきだと思うし、そうでない状態で声を出しても、みんなの邪魔になるのではないかと考えているんです。でも自分がやらなくても、代わりに積極的に声を出す選手が出てくる、そういう選手の成長を見られる、という面もあると思います。ケガをしたからこそ、声を出し過ぎず、見守っているという意識もありますね。とはいえ、声を出すことが自分の良さだと思っているので、一緒にプレーできるようになれば、どんどん声を出していきますよ。