ツエーゲン金沢とのJ2開幕戦でファジアーノ岡山の今季初ゴールを決めたのは、昨季のチーム得点王であるFWイ・ヨンジェだった。好スタートを切ったが満足することなく、昨季の反省を踏まえ、さらなる活躍を期す。

上写真=昨季以上の活躍を目指すイ・ヨンジェ(写真◎石倉利英)

開幕戦で決勝ゴール

 ツエーゲン金沢をホームに迎えた2月23日のJ2リーグ開幕戦。FWイ・ヨンジェが決めたファジアーノ岡山の今季初ゴールが、1-0の勝利の決勝点となった。スコアレスで迎えた80分、MF上田康太の右CKをDF濱田水輝がヘッドで合わせ、ファーサイドに流れたところを押し込んだが、CKのキック直後から『予感』があったと本人は振り返る。

「蹴られた瞬間のボールの軌道を見たとき、『水輝さんに合うな』という感じがして、流れてくるだろうと予測しました」

 開幕戦独特の緊張感もあり、両チームとも動きの硬さが目立った。「風も強かったので難しく、お互いに質を求められないような試合だった」と振り返ったイ・ヨンジェだが、「チャンスは絶対に来ると信じてプレーしていた」という姿勢が、値千金のゴールにつながった。

 V・ファーレン長崎、京都サンガF.C.を経て2018年に岡山に加入。1年目は負傷もあってJ2リーグ11試合1得点と不本意な結果に終わったが、昨季は全42試合に出場してチーム最多の18得点と、キャリア最高のシーズンを過ごした。今季も開幕戦でエースと呼ぶにふさわしい活躍を見せ、昨季以上の活躍を誓うが、韓国人ストライカーは昨季に不満も残っているという。

「昨季以上の結果を出したい気持ちは強い。チャンスが多い試合でも、あまり多くない試合でも、ワンチャンスへの集中力を持って、ゴールに結びつけることを意識しています。昨季の後半戦は、その集中力が少し落ちてしまい、なかなかゴールを決められませんでした。集中力は昨季以上に意識しなければいけない」

 昨季は9月の第32節で18得点目を挙げたものの、その後は10試合無得点と失速し、チームも競り合った末にJ1昇格プレーオフ進出を逃した。1年を通して活躍することが昨季以上の自身の活躍、さらにチームの好成績に結びつくと考えている。

 3月15日までに開催予定だったJリーグ全公式戦の延期が決まり、中断期間中は「個人的には、コンディションを上げていく。チームとしては戦術面を追求して、質を上げていくことが求められる」と語ったイ・ヨンジェ。今季も岡山の得点源として相手の脅威となるべく、レベルアップを続けていく。

文◎石倉利英 写真◎石倉利英