ファジアーノ岡山DF田中裕介が、加入2年目のチーム力アップを目指している。2月23日のJ2リーグ開幕戦でツエーゲン金沢に1-0で勝利。昨季や、過去のJ1昇格の経験を踏まえて、今後に求められることを語った。

上写真=加入2年目のシーズンに臨む田中。戦力のさらなる底上げが必要だと語った(写真◎石倉利英)

「チームが最高のレベルを出すために」

 ファジアーノ岡山がツエーゲン金沢をホームに迎えた2月23日のJ2リーグ開幕戦は、終盤まで0-0の均衡が破れない接戦に。CBの一角でプレーしていた岡山DF田中裕介は、2月25日の練習後に試合を振り返り、「時間が経つにつれて1点差ゲームになるのかなと思っていたので、守備陣は『先に失点しないように』と言い合っていた」と語った。

 我慢強く対応した姿勢が実り、岡山は80分にFWイ・ヨンジェが決勝点を奪って1-0で勝利。田中は「開幕戦独特の雰囲気の中で、硬いところ、思うようにいかないところがあった。その中で、去年から積み上げてきたセットプレーや、最後のところで相手にスキを与えないことが、1-0という結果につながったと思います」と勝利を喜んだ。

 横浜F・マリノス、川崎フロンターレ、セレッソ大阪の各Jクラブのほか、オーストラリアでもプレー。今季で岡山加入2年目を迎える田中は、昨季からの積み上げを意識しているという。「チームには去年の勝ちパターンが、少なからず成功体験としてある。それをいかに新加入選手に伝えて、どういう形で勝っていくか、ということをプレシーズンでやってきた」。開幕戦では「狙い通りにできたかというと、違う面もあった」と課題を指摘しつつ、「去年の開幕戦よりは仕上がりは早いと思います」と手応えもつかんだ。

 岡山は昨季J2で、シーズン終盤までJ1昇格プレーオフ進出を争ったものの、最終的に9位に終わった。C大阪時代の2016年にJ2を戦い、J1昇格に貢献している田中が、昇格に向けて必要だと考えているものは何なのか。

「一つだけ言えるのは、間違いなく(必要なのは)選手層。11人だけでは無理です。セレッソのときもそうでしたが、ケガや出場停止が絡んで選手が入れ替わっても、チーム力が落ちないこと。チームが最高のレベルを出すため(の顔ぶれ)に、何人の選手が入ってくるかが大事になると思います」

 選手層を厚くする必要性は、有馬賢二監督も指摘している。田中は「ミーティングから『競争』だと、常に言われています。リーグ戦が始まり、(各選手への)刺激の入り方が違う。試合に出るために全員が努力して、高めていくことが大切」だと強調した。

 取材後、3月15日開催予定分までのJリーグ全公式戦の延期が決まったことで、チームづくりも仕切り直しとなりそうだ。ここで田中自身も再び身を置くポジション争いが、これまで以上に活性化すれば、岡山はさらに力をつけて今季を戦うことができる。

文◎石倉利英 写真◎石倉利英