第10節以来勝利から遠ざかっていた山口が、首位の水戸を敵地で破った。前半から主導権を握り、44分から立て続けに2度の決定機を迎える。いずれもゴールにはつながらなかったものの、後半も勢いを持続させると、71分に決勝点が決まる。MF三幸秀稔のクロスにDF菊池流帆が頭で合わせ、水戸のゴールをこじ開けた。山口は6試合ぶりの白星を手にし、暫定19位に浮上した。

上写真=決勝ゴールを決めたDF菊池(写真◎J.LEAGUE)

■2019年6月1日 J2リーグ第16節
水戸 0-1 山口
得点者:(山)菊池流帆

目標は日の丸選手「勝たなければ評価されない」

 リーグ戦5試合未勝利。悪い流れを断ち切ったのは、4節ぶりに先発出場した大卒ルーキー・菊池流帆の決勝ゴールだった。右サイドのスペースに走り込んだMF三幸秀稔からふわりとしたクロスが上がり、ファーサイドの角度のないところからヘディングでゴールにねじ込んだ。

「ニアに人が多かったので、ファーサイドに逃げました。(角度のないところから)ゴールを狙った。(チームが)勝利から遠ざかっていたので、やっと勝ててよかった。自分が出るからにはしっかり勝ちたいと思っていたので、結果につながってうれしい」と、安堵の表情を浮かべた。

 決勝点の活躍はもちろんだが、センターバックとして守備面での貢献も大きい。188センチの長身を生かして空中戦を制すれば、「あまり負ける気がしない」という対人守備でも相手を止め続けた。背後を突かれる場面もあったが、素早くリカバリーしてピンチを防ぐなど、存在感が際立った。

「(山口の)攻撃陣は良い選手がそろっているので、守備陣がしっかり安定しなければ。その中で、(20代前半の)僕らが成長していかなければいけないと自覚しています。良い時もあれば、悪い時もある。成長している実感はあるけれど、それを試合でどう出せるかだと思っています」

「ビルドアップが苦手」というように、まだまだ課題は多い。「(この試合のようにゴールを)決められれば一番良いですけど、まずは守備」と、DFとしての向上心を持ち続ける。現在の目標は「日本代表になること」。そのために、J1の舞台に立つことを目標としている。

「J1に行くためには、チームを昇格させるか、個人的に昇格するかのどちらかだけれど、しっかりチームのためにやっていれば自ずと結果はついてくる。(求めるのは)とにかく勝利ですね。勝たなければ評価されないので、しっかり貢献できればいいなと思います」

 チームのJ1昇格と、自身の夢を実現させるべく、22歳の大型CBはさらなる活躍を誓う。

取材◎小林康幸