上写真=福島とのトレーニングで2ゴールを挙げた森
写真◎サッカーマガジン

 2月10日、水戸の練習場『アツマーレ』で水戸対福島のトレーニングマッチが行なわれた。水戸は森勇人が2得点、福島は岡田亮太と川中健太がゴールを挙げ、2-2の引き分けに終わった。

「昇格したい。そのためにできることは全部やる」

 前夜に降り積もった雪が辺りに残る中、水戸市街地から車で30分ほどの城里町にある練習場『アツマーレ』には、多くのサポーターが詰めかけていた。前日、水戸は『いばらきサッカーフェスティバル』の鹿島戦で完封負けを喫したが、この日は福島から2得点。ゴールの喜びをサポーターに届けた。

 その2点を決めたのが、今季から水戸に加わったMF森勇人だ。「ゴールを取れていなかったので、取れたことはうれしい。でも、もっと点を取れたと思うし、僕がもっと取っていれば勝てたゲームだった」と、引き分けの結果には満足できなかった。

 名古屋の下部組織で育ち、2014年にトップチーム昇格。その後、G大阪にも在籍した。しかし、5シーズンでJ1出場数はわずか1試合。G大阪での2シーズンは、主にU-23チームの一員としてJ3を戦った。

「僕自身、(プロでの)5年間で2度、違うチームに移っています。(今季は)6年目にして3チーム目です。そういった中で、プロサッカー選手って簡単じゃないなと、感じています。正直、J1(のチーム)にいたけれど、J1の選手ではないと思っていた。(J1での)試合出場数もほとんどなかった。決して華やかな選手ではありませんでした」と、これまでのキャリアの苦労を明かす。

 それだけに、新天地には確固たる決意を胸にやってきた。

「やっぱりサッカーが好きだし、好きなサッカーで上を目指さないと面白くないですよね。サッカー選手として、またそこ(J1)を目指したい、そこに行きたいという思いはすごくある。だから、チームとして昇格したい。そのために、僕自身ができることは全部やる。そうすれば必ず、チームとしても、個人としても、結果はついてくると思う。勝負したいというか、昇格を成し遂げたいという覚悟を持って、水戸に来ました。そこはシビアに考えながらも、すごく楽しみながら今シーズンを戦っていきたいと思います」

 そんな森にとって、J2リーグは未経験。だが、その厳しさを理解している。

「J2は『天国と地獄』というか、非常にシビアなリーグだと思っています。J1に上がれるチャンスがあるけれど、J3に落ちる可能性もある。そういった中で、“きれいなサッカー”にはならないかもしれないけれど、勝負にこだわるという部分では、すごく魅力的なリーグなのかなと、考えています。だからこそ、すごくやりがいがある」

 昨季、クラブ史上初のJ1ライセンス(解除条件付き)が交付された水戸にとって、今季はJ1昇格に向けた2度目の挑戦となる。2週間後のリーグ開幕に向け、新たに青のユニフォームに袖を通す森も、闘志をみなぎらせている。

取材◎小林康幸