※上写真=後方から果敢に攻め上がり、攻撃のアクセントとなった岩田 写真◎J.LEAGUE PHOTOS

■2018年11月17日 J2リーグ第42節
山形 1-1 大分
得点者:(山)アルヴァロ・ロドリゲス (大)星雄次

 J1自動昇格圏内の2位で最終節を迎えた大分は、敵地で山形と対戦。19分、味方との連係で右サイドを突破した岩田智輝のクロスから、星雄次が右足でシュートを決め、昇格へ向けて幸先良く先制点を奪う。しかし、勝利を目前とした後半アディショナルタイムに失点。そのまま1-1の引き分けに終わったが、他会場の結果により大分の2位が確定。来季は、2013年シーズン以来のJ1を戦うこととなる。

青写真は“J1経由、東京五輪行き”

【動画】大分が敵地で勝ち点1を挙げJ1昇格! 岩田智輝が星雄次の先制点をアシスト!

 大分をJ1の舞台に近づける先制点は、生え抜きDFの機転から生まれた。

「(山形のDFが)3枚ならば、自分が上がっていけば(味方FWのマークを)はがせると思った。積極的に行きました」

 19分、センターバックの岩田智輝が、右サイドを果敢に攻め上がることによって大分の3トップと数的同数で守る山形の守備網を崩し、逆サイドからゴール前へ走り込む星雄次にグラウンダーのクロスを送る。

「(星)雄次くんが良いところにいてくれた。決めてくれて“ありがとうございます”って感じです」。昇格が懸かる重要な一戦で、貴重な先制ゴールをお膳立てした。

「リーグ前半戦は、なかなか試合に絡めなくて、悔しい思いをしてきた。その悔しさを、毎試合ぶつけている」とハートは熱くも、「相手を見て、相手が嫌なプレーを常に考えている。あと、どこにスペースが空くのか、ということも常に考えている」と頭脳は冷静だ。ゴールへの一連のプレーは、前への気持ちの強さと、的確な戦術眼が生み出したもの。岩田がこの一年で成長した部分が凝縮されたアシストとなった。

 チームをJ1昇格に導く決定的な仕事をしても、21歳のDFは「まだまだできると思っている」と、向上心を示す。さらなる成長の先には、2020年のオリンピックが待っているからだ。すでに、若き“森保ジャパン”は昨年の『M-150カップ』で経験済み。2年後、日の丸を背負って東京五輪のピッチに立つためにも、大会の前にJ1で戦う姿を森保一監督にアピールできることは大きい。

「来年も絶対にスタメンで出られるという保証はないから、まずは試合に出ることが目標。J2で出続けることも大事だけど、J1で出続けるほうが、(東京五輪の代表メンバーとなる)チャンスは大きいと思う。ただ、試合に出続けるだけじゃ、代表には選ばれないと思っている。試合に出て、もっと結果だったり、質の高いプレーを自分自身で求めていかないと。(来季は)結果と数字にこだわっていきたい」

 J1での活躍と、その先に待つ東京五輪を目指す大分の若武者は、来季のさらなる活躍を誓う。

取材◎小林康幸