藤本がカウンターから大分に2点目をもたらす 写真◎J.LEAGUE PHOTOS

 敵地で水戸と対戦した大分は序盤から持ち前のパスワークで攻め込むと、35分に三平和司のクロスを伊佐耕平が頭で合わせて先制する。後半に入ると、同点を狙う水戸に押し込まれる場面が増えるも、中盤の構成を変えて対応。80分には伊佐のパスを受けた藤本憲明が冷静にゴールに流し込み、追加点を奪取。その後、セットプレーから1失点を喫するも逃げ切り、勝ち点3を積み上げた。

■2018年9月29日 J1リーグ第35節
水戸 1-2 大分
得点者:(水)ジエゴ (大)伊佐耕平、藤本憲明

「1試合で1点は取れるように」

 勝負を決めたのは、2トップのカウンター攻撃だった。相手のパスミスを拾ったFW伊佐耕平が左サイドを突破し、中央へグラウンダーのクロスを送る。ゴール前で待ち構えていたFW藤本憲明が右足で冷静にゴールへ流し込み、大分の勝利を決定づける2点目が決まった。

 伏線となったのは、69分の交代策。片野坂知宏監督は「水戸は1点ビハインドの状況で、圧力をかけて攻撃してきた。そのため、(大分は)2トップにしたほうが、カウンターの場面でも基点が作れるだろう」と、藤本を投入して伊佐との2トップに変更。結果的に、指揮官の采配が的中した。交代出場で期待に応えた藤本も「カウンターは狙っていた。終盤は相手のペースだったから、その中で1点取れてよかった」と、満足げに語る。

 チームの4連勝とともに、藤本自身も4試合連続ゴール。今季の得点数を、チーム最多となる「11」に伸ばした。「たまたま(ゴールが)続いた」と謙遜するも、2年連続でJ3得点王に輝いた実力は、伊達ではない。「周りの選手のおかげだし、彼らと(連係が)合ってきている」と、J2の舞台でも活躍を見せている。

 これで、大分は2位浮上(9月29日時点)。いよいよJ1昇格も見えてきた。藤本は「自動昇格をみんなで意識して、先走ってはいけない。これからアウェー戦や、厳しい相手との対戦もある」と、決して楽観視はしていないが、「たとえトリニータらしいサッカーができないときも我慢して、今日みたいな戦いができたらいい」と、確かな手応えを手にした。

「まだJ1昇格プレーオフ圏内を確実なものにしているわけではない。だから、まずはそこを目指して、1試合で1点は取れるように、良い準備と、良いトレーニングをしていきたい」

 2013年以来となるJ1の舞台へ向け、大分のナンバー10はこれからも貪欲にゴールを目指す。

取材◎小林康幸