11月1日の明治安田J1リーグ第13節、横浜F・マリノスは川崎フロンターレから今季最多の4ゴールを決めた。その口火を切ったのが遠野大弥。アキレス腱断裂という重傷を乗り越えて帰ってきて、出場した2試合で連続ゴールだ。サッカーができる幸せをかみ締めて、楽しそうにゴールに迫った。

上写真=遠野大弥が古巣から奪った先制弾が、4ゴールの口火となった(写真◎J.LEAGUE)

■2026年11月1日 J1第13節(観衆40,738人/@日産ス)
横浜FM 4-2 川崎F
得点:(横)遠野大弥、近藤友喜、谷村海那、ジェイソン・キニョーネス
   (川)フィリップ・ウレモヴィッチ、大関友翔

「いいシュートだったかなと」

「サッカーができる幸せや喜びをプレーで表現していくことがまず一つで、自分が出たら気持ちを前面に出してやってやろうという気持ちだったので、もう1試合1試合、本当に気持ちを出していくことが自分のゴールにつながっているのかなと思っています」

 遠野大弥が輝きを取り戻している。

 3月の右アキレス腱断裂からようやく復帰して、リーグ戦では3試合目が、3月の負傷時に対戦していた古巣の川崎フロンターレ戦。その開始早々の12分、右CKのクリアが目の前にこぼれてきた。

「あそこにこぼれてくるのは前日の練習から狙い目だったので、あそこに来たら思いっきり足を振ろうという思いでした。(CKの)1本目は自分のところを目がけて蹴るという指示も出ていたので、そこは本当に吹かさず、いいシュートだったかなと」

 迷わず振り抜いた右足から放たれたシュートは、密集をすり抜けて左ポストに当たってゴールに飛び込む先制ゴールになった。

 長いリハビリの間、意識していたのは「イメージ」だという。

「毎試合、自分が入ったらどこでどうやってプレーするのか、自分が入ったらこうするんだ、というイメージだけは忘れていなかったので、そういうイメージが1試合1試合、意識できているのかなと思います」

 トップ下の選手としては、絶妙なパスを配る天野純とはまた違って、セカンドストライカーとしての役割が大きい。1トップの谷村海那を中央に構えさせておいて、その周辺でのプレーを引き受け、幅広いエリアに顔を出してはボールを引き出し、ゴールを虎視眈々と狙っていった。

 チームはリーグ戦で8試合負けなしを続けていたが、そのうち6試合が引き分けと勝ちきれていなかった。それが、今季最多の4ゴール。

「リーグ戦はなかなか勝てていない中で、前半で3点を取っていい試合ができたと思います。ただ、僕自身は意識せずに、来たボールをうまく当てられて点になってよかったなって」

 前回出場した2節前の東京ヴェルディ戦で「復帰ゴール」を決めていて、これで先発した2試合で連続のゴール。はつらつとしたプレーで、チームを活性化させている。

 ところで、自らがゴールを決めたあと、喜びは控えめだった。4シーズンを過ごした古巣が相手だったからだ。

「やっぱりお世話になっているので」

 リスペクトを忘れないのは、まっすぐにサッカーに向き合ってきた純粋さの証拠。だから、かつての仲間にもいまでも愛されているのだろう。ミックスゾーンでは、記者に囲まれた遠野に対して川崎Fの選手や関係者が必ずちょっとだけちょっかいを出して後ろを通り過ぎていった。

 そしてそのたびに、遠野は屈託のない笑顔を向けるのだった。