上写真=奥村仁は孤軍奮闘。攻撃の中心になり、守備のタスクも実直にこなした(写真◎J.LEAGUE)
■2026年10月25日 J1第12節(観衆23,602人/@味スタ)
FC東京 6-0 水戸
得点:(F)仲川輝人2、安斎颯馬、ダニ・ゴメス、アレクサンダー・ショルツ、マルセロ・ヒアン
「切り替えるのは難しいですけど」
松橋力蔵監督、稲村隼翔、長倉幹樹。アルビレックス新潟時代にともに戦った仲間が、この日は奥村仁の敵としてそこにいた。
「いつも目の前の試合に必死です。今日はFC東京相手にどれだけできるかは指標でもありますし、連敗も続いてるのでモチベーション高くできましたけど、負けてしまったら意味がない」
9月にJ2のアルビレックス新潟からJ1の水戸ホーリーホックに移籍した。かつてのチームメートと同じ場所でプレーすることが、自らの現在地を示すものさしになるはずだった。それが、0-6の屈辱的大敗。
「前半のうちに自分たちの決めきれるチャンスがある中で決めきれなかったからこの結果になってしまいましたし、失点のあとに自分たちも少し下を向いてしまったり、気持ちの部分で少しネガティブになってしまうところあったので、切り替えるのは難しいですけど、前を向いてやるしかない」
そのチャンスを作ったのは、奥村だった。
特に23分のシーンでは、クリアボールをヘッドでフリックして左に送り、谷口海斗にGKキム・スンギュと1対1の場面を作り出した。しかし、シュートは大きく右へ。谷口が「すべて自分の責任」とうなだれたシーンだ。26分には相手のビルドアップを引っ掛けたカウンターからパスを受け、奥村がドリブルで一気にミドルシュートを狙ったが、枠外へ。
ほかにも何度も攻撃の起点になりながら、守備のタスクも多くこなした。負傷者が続出しているチーム事情もあり、この日は同じく元新潟の谷口海斗と2トップを組んで、相手の攻撃の起点になるセンターバック、アレクサンダー・ショルツと稲村隼翔のパスコースを制限にかかった。
「稲村のところから攻撃が始まるのは分かってますけど、後半は好きなようにやられていたので、チームとして振り返らないといけない部分でもありますし、もっと何かできたらなと思ってます」
その奥村の狙いを、稲村もよく分かっていた。
「だいぶスピードを上げて僕のところに来てたんでね。かわしちゃおうかなと思ってたんですけど、うまく外せてたかな」
稲村にとって奥村は「親友みたいな感じ」な大切な存在。だから「(新潟で)いろいろな時間を共にしてきてたので、J1で一緒に戦えるのはうれしいし、仁くんもいろいろな思いを持って移籍したと思うんです」とその気持ちを慮った。
奥村はこれが水戸で3試合目の先発。「親友」の稲村との対戦に特別な思いを持っていた。
「お互いに成長して戦えるのが一番ですけど、こういう結果になってしまったので、自分は本当にもっと努力しないといけないなと思いましたし、本当に決められるところを決めないと、こういう結果になってしまうということは改めて思いました」
親友にその事実を突きつけられるのは残酷かもしれないが、あるいは稲村が相手だったから受け止めることができるかもしれない。
「前線の選手としてはアシストやゴールを決めないと、どれだけいいプレーをしても意味がない。本当に結果にこだわらないとずるずるといってしまうので、前線の選手がこだわらないといけない。切り替えるのは難しいですけど、本当にやるしかないですね」
親友やかつての仲間が教えてくれた「現在地」を、無駄にするつもりはない。