10月25日の明治安田J1リーグ第12節で、FC東京は水戸ホーリーホックに6-0で圧勝した。勝利を引き寄せる3点目を決めたのは安斎颯馬。前節の後悔を取り戻す一発回答のゴールだったが…。

上写真=マルセロ・ヒアンのゴールを祝福する安斎颯馬。仲間のゴールが何よりうれしかった(写真◎J.LEAGUE)

■2026年10月25日 J1第12節(観衆23,602人/@味スタ)
FC東京 6-0 水戸
得点:(F)仲川輝人2、安斎颯馬、ダニ・ゴメス、アレクサンダー・ショルツ、マルセロ・ヒアン

「久々に寝られなかった」

 安斎颯馬にはどうしてもこの試合でゴールを取らなければならない理由があった。

 4日前の柏レイソル戦。開始早々のビッグチャンスに決められず、0-0のスコアレスドローに終わっていた。「すべて自分の責任。次に必ず取り返す」と約束したのだ。

「前節、本当に悔しくて、久々に寝られなくて、取り返す気持ちを持ってこのゲームに入りました」

 そして、そのときはやって来た。

 66分、常盤亨太からのパスを左サイドで受けた安斎は独走してゴールに向かい、カットインと見せかけて縦に出て、左足でニアにねじ込んでみせた。勝利にぐっと近づく3点目だ。

「縦を見せていたので、本当はカットインして打とうと思ったんです。でもヤスくん(元チームメートの木本恭生)がついてくるのが見えたので、本当にとっさに切り返して、もうあとは左足を思いっきり振ろうと」

 こちらも元FC東京のGKヤクブ・スウォビィクに当たりながらも転がり込んだのは、思いの強さが勝ったからなのかもしれない。

「ニアは狙い通りで、うまくゴールに転がってくれました。僕の気持ちと、いろいろな人の後押しがボールをゴールに運んでくれたな、って」

 柏戦で引き分けたあと、チャンスに決められなかった安斎を待っていたのは、ブーイングではなく後押しのチャントだった。

「前節の試合後のゴール裏のチャントも、今日もアップのときに2回も自分のチャントを歌ってくれたのも聞こえていました。必ずその期待に応えること、前節の僕の責任を取り返す覚悟でこの試合に臨みました」

 まさに一発回答で「責任を取り返した」が、「でもまだ、あの悔しさが消えることはない」と笑顔はない。

 喜んだのは自分の、ではなく仲間のゴールだった。90+3分に山田楓喜の右からのクロスにヘッドで合わせたマルセロ・ヒアンの一発。

「もちろんテルくん(仲川輝人の今季初)のゴールもそうですし、ダニ(ゴメス)、ヒアンのゴールもそう。僕自身はヒアンにどうしても取ってもらいたい思いがあってボールを集めていましたし、最後に自分の力でしっかり取ってくれました。チームとしてもフォワードの選手が点を取るのが一番勢いに乗ると思う。その3人にゴールが生まれたのはチームとして本当に大きい」

 同い年のマルセロ・ヒアンはここまで4ゴールは挙げているが、もっと決められると信じているからこその思いやりだった。

「ヒアンは点は取ってますけど、チャンスの量に対してもっともっと取れるとヒアンも思ってるだろうし、いまは自信をつけてあげるのがヒアンにとって一番いいこと。今日も取れるチャンスはいくつもありましたけど、それでも最後の最後で取るか取らないかで大きく違う。気持ちの面でも、チームの士気にとっても、最後に取ったのはヒアンの力なので、本当にうれしかった」

 安斎もマルセロ・ヒアンもこれで同じ5ゴール。高め合って競い合って、ともにゴール数を伸ばすつもりだ。その先に見据えるのは、もちろん頂点。水戸戦の勝利で首位のFC町田ゼルビアに勝ち点で並び、得失点差も1差に迫った。

「上が見えているのは事実ですけど、まだ約3分の1が終わったところ。今シーズンはこれからだと思います。まだまだ一喜一憂している場合ではないので、もう本当に一戦一戦です。もちろん志は高く持ちますけど、しっかり目先の試合に向けて集中していきたい」

 ここからの歩みの中で、安斎とマルセロ・ヒアンのアベックゴールが決まれば、その士気はますます高まるに違いない。