10月21日の明治安田J1リーグ第11節で、柏レイソルはFC東京に主導権を奪われながらスコアレスドローに持ち込んだ。いきなりビッグセーブで救ったのがGK永井堅梧。今季初先発で無失点に抑え、確かな一歩を踏み締めた。

上写真=永井堅梧がセーブとキックでチームを下支えした(写真◎J.LEAGUE)

■2026年10月21日 J1第11節(観衆18,623人/@味スタ)
FC東京 0-0 柏

「僕からのロングボールがチャンスに」

 今季初の先発出場のチャンス。柏レイソルのGK永井堅梧にとっては大一番だった。

 ハイライトはいきなりやってきた。3分、FC東京が素早い連係からど真ん中を割ってきた。安斎颯馬と至近距離で1対1になるピンチ。

 しかし、冷静に左足でシュートをストップしてみせた。

「それで乗ったか乗っていないか、あんまりそんな思いはなかったです」

 最初にして最大とも言える苦境を乗り越えたあとも、ここ2試合で計7ゴールを挙げている好調のFC東京の攻撃を最後まで食い止めて、0-0のドローでまとめてみせた。

「結果的に勝ちたかったですけど、失点ゼロで最低限のことができてよかった」

 それでもやはり、最後尾からのストレートな感触は「今日はやられた印象を僕は持ってるので」だった。公式記録で合計14本のシュートを浴びている。

「もう少しコンパクトにすることが必要ですし、分析ではカウンターがFC東京の長所でもあったので、うまくカウンターさせないように、そして切り替えの部分も危険だというところは警戒はしていたんですけど、前半は特にやられたかなと」

 その我慢の時間の中で、好感触もあった。自らが送ったロングパスだ。

「もうちょっとマイボールの時間を増やしたかったですけど、僕からのロングボールがチャンスになっていました。相手がマンツーマン気味に守ってきていたので、後ろのスペースが空いていて、そこが狙いでもあったので」

 永井のロングキックが最高のチャンスにつながったのが、44分のこと。

 ゴールキックを相手陣内左まで一気に飛ばして最前線の藤尾翔太を走らせると、そこで粘ってマイボールにしたあと、汰木康也、山内日向汰とつないでさらに右へ、そこに入ってきた久保藤次郎が右足でシュートを見舞った。ていねいにコースを突いたボールはしかし、左ポストに弾かれ、跳ね返りを汰木が押し込もうとしたが、ぎりぎりで稲村隼翔に跳ね返された。

「飛距離を出すところは自信を持っていますし、ロングボールの精度は自分の長所。翔太とも話して、相手と1対1になるところが多ければスペースに落とすから抜けていってという話は試合前からしていて、うまく何回かチャンスになったのはよかったです」

 分析の通りに動いてきたFC東京のふるまいも見逃さなかった。

「すごく前に人をかけてきて、下からつなぐことのほうが難しかった。でも逆に、その背後のスペースはすごく広大に見えていて、そこに落とすから走ってくれ、と」

 距離が長くなれば精度は落ちるが、相手ゴールの近くで攻撃をスタートさせられるメリットもある。ショートパス自慢のチームの中で、自分ならではの持ち味と藤尾の滑らかなパワーランとの組み合わせは新鮮で、磨けばもっと面白くなる。

 柏のGK事情は、小島亨介の欠場が続き、若原智哉が2試合続けて脳しんとうで交代を余儀なくされた。そこで代わりに登場した永井が、このFC東京との大一番で初めてフル出場した。

「僕は今年、すごく苦しい時間が長かった。そういった意味では、こうやって試合に出てクリーンシートを達成できたのは、僕個人としてはかなり大きいものを得ることができました。それは次につなげていきたい」

 横浜FC時代の2023年にリーグ戦でJ1でのプレー経験はあるが、その後はJ2に降格した横浜FC、同じくJ2の徳島ヴォルティスでも出番はなし。2025年8月に柏に加わったが、この年もピッチに出ることはなかった。今年前半のJ1百年構想リーグでようやく、久々のトップリーグ出場を果たしている。

「僕個人としてのキャリアでも、J1のトップ争いはしたことがなかったし、初めての経験なので、この緊張感の中でプレーすることはものすごい価値がある。お互いに勝ち点3を目指す中でこういうゲームができるのは、選手としてはすごく楽しいです」

 その百年構想リーグでは3試合に出場しているが、その3試合目の相手がFC東京で、3失点を食らって敗れている。

 それが今回は無失点。踏み締めた成長の一歩は力強かった。