セレッソ大阪DF井上黎生人が、プロキャリア最初のクラブへの思いを語った。10月14日のヤマザキビスケット・ルヴァンカップのファーストラウンド3回戦で対戦するガイナーレ鳥取は、高校卒業後の2015年に加入し、2020年までプレーした古巣。現在の土台を築いたクラブへの感謝の思いとともに、ここまで格上を下して勝ち上がってきた相手への警戒と、勝利への意気込みも口にしている。

上写真=C大阪の中心選手として活躍している井上。プロキャリア最初のクラブである鳥取には特別な思いがあるという(写真◎CEREZO OSAKA)

「同じことはさせないつもり」

「6年前とは選手もコーチングスタッフも変わっていて、知っている選手はいませんが、ずっと変わらないのはサポーターの皆さんで、クラブスタッフの皆さんも変わらないと思う。その方たちにお会いできるチャンスがあることがうれしいですし、プレーしているところを見せたいです」

 鳥取のホーム、Axisバードスタジアムで19時から行なわれる一戦への熱い思いが、言葉の端々から伝わってきた。浦和レッズ時代の2024年にルヴァンカップ1回戦が鳥取との対戦となり、同スタジアムでの試合で控えメンバーに入ったものの、出場機会なし。2020年のJ3最終節以来、6年ぶりに同スタジアムでプレーするチャンスがめぐってきたことに心を躍らせている。

 中学1年生のときにブラジルに留学した経験の影響で、鹿児島実高(鹿児島)卒業後は留学も含め、海外でプレーしたいと考えていた。大学に進む話も断って話が進んでいたが、最終的に実現せず。すでに大学進学は難しいタイミングで、多くのクラブの練習に参加したが、加入には至らず時間が過ぎていった。

 鳥取が獲得を決め、2015年3月3日に加入が決定。同15日のJ3リーグ開幕直前にプロ入りが決まると、1年目はリーグ戦8試合に出場した。16年はリーグ戦出場ゼロと苦しい時期を過ごしたものの、17年以降は徐々に出場機会を増やし、18年からは主力として活躍。21年に当時J2のファジアーノ岡山、22年にJ1の京都サンガF.C.、24年にJ1の浦和とステップアップして、25年途中からC大阪でプレーしている。

 鳥取は「拾ってくれた」クラブであり、「いまの僕を作ったのは、まさしく6年間のガイナーレでのシーズン」との思いがあるという。プロとしての地歩を固める過程で「得点を決める喜びや、たくさん失点に絡んで最下位で終わる悔しいシーズン、いろいろな経験をした。言葉では言い表せないくらい感謝している」と言葉をつないだ。

 もちろんJ1クラブの主力として、J3のクラブに負けるわけにはいかない。鳥取は1回戦でJ2のRB大宮アルディージャ、2回戦でJ1のV・ファーレン長崎に勝利。今季は天皇杯でも2回戦でJ1の名古屋グランパスを破っているが、「J2にもJ1にも勝ってきて、一言で言うと、本当に強い」と警戒する一方で「僕たちセレッソ相手に同じことはさせないつもり」ときっぱり言った。

 その上で「一番やってはいけないことは、油断することと、このくらいでいいやという、あいまいなポジションを取ること。そこをおろそかにすると必ずやられてしまうので、その準備は誰が出てもしっかりしなければいけない」と警戒。勝ち上がりに向けて「そこが安定すれば、前の選手(攻撃陣)は決めてくれるという信頼もあるので、しっかり前の選手を信じてプレーするだけ」と意気込んでいた。

取材・文◎石倉利英