川崎フロンターレのレジェンドFW小林悠が、引退を決意した。9月23日、自身の39歳の誕生日に記者会見を行い、2026年12月31日で現役を退くことを表明した。支えてくれたサポーターのために、残り3カ月、全力を尽くすことを誓った。

上写真=代名詞となった「11」とともに年内でピッチを去る(写真◎サッカーマガジン)

「死ぬまで忘れない」

 川崎フロンターレの歴史を動かした男がまた一人、ピッチを去る。小林悠が年内で現役を退くことを明かした。

「一番の決め手になったのは、自分自身のことを自分が信じきれなくなってしまった、ということ」

 苦しい胸の内を明かした。

「ここ数年、筋肉系のケガが増えていて、試合に出られているときや得点を取れているときはリハビリ中でも復帰してゴールするイメージが湧いていました。でも、体が思うように動かなくて、復帰したときにゴールを決めるという、昔あったギラギラしていたものが年齢とともに消えていくのを感じて、それがなくなるにつれて引退が明確になっていきました」

 2026年のJ1百年構想リーグでは2試合出場ノーゴール。ケガも多くなって、体が言うことを聞かなくなり、悩んだ。だが、ここで引退するのは「違うんじゃないか」と盟友である中村憲剛コーチをはじめ、多くのスタッフに進言されたという。だから、年内いっぱいまで戦うことを誓った。

 振り返って思い起こすのは、やはり2017年のJ1リーグ初優勝のことだという。シルバーコレクターと言われたクラブがついにつかんだ栄光である。

「初タイトルを取ったときの記憶はいまでもすごく覚えています。鬼さん(鬼木達監督=当時)や(中村)憲剛さんと喜び合えたことは嘘じゃなくて一生忘れない出来事です。いつサッカーをやめてもいいと思えたし、自分の辛かったこととかすべてなくせた。このためにやってきたんだな、って。死ぬまで忘れないだろうなと」

 その後、J1でさらに3度、JリーグYBCルヴァンカップで1度、天皇杯で2度、カップを掲げた。その偉大なキャリアを美しく飾るために、自ら引退へのカウントダウンを始めた。9月23日に発表したのは、自身の39歳の誕生日であり、「長く応援してくれたサポーターに早い時期に知ってもらって、最後の引退までの姿を見てもらうのがいいのではないか」という深い思いからだ。

 だから、ここからはサポーターへの感謝を全身で表現する3カ月になる。

「ここ数年は苦しいことのほうが多くて、試合に出られない日もケガも多くて、なかなか絡めなくて。でも、11番のユニフォームを僕が出ないのに着てくれて応援してくれる人の姿を見ると、何回でも、もう1回頑張らなきゃなと思えたし、最後のほうは自分が自分を信じられなかったんですけど、それでも自分を信じてくれるサポーターがいたからなんとかやってこれたと思うので、感謝しかないです。どんな形でもいいので、その人たちにゴールする姿を絶対に見せたい。感謝の気持ちを返したい」

 背番号11の誇りにかけて。

「競争があるので簡単なことではないと思っているけれど、応援してくれているサポーターに、11のユニフォームを着て等々力に来てくれるサポーターにもう一度ゴールする姿、戦う姿、自分のギラギラした姿を見せられるように頑張っていきたい」

 一度消えかけたゴールへの渇望は、引退を表明したことで再び甦ってきた。

「いま、逆にギラギラしたものを感じています。3日前に全体練習に合流しましたが、いまはゴールするイメージがあります」

「2026年12月31日で引退する」と話したが、契約は2027年1月1日まで。川崎フロンターレの一員として元日の天皇杯決勝に進出して、優勝カップを掲げて花道を堂々と歩きたい。

2017年に初めてJ1制覇。クラブの歴史を大きく動かした。この年、得点王とMVPも獲得(写真◎J.LEAGUE)

小林悠が獲得した3大タイトルの数々(写真◎サッカーマガジン)

花束を渡したキャプテンの脇坂泰斗は号泣(写真◎サッカーマガジン)

小林悠出場記録

町田JFC(東京都)─ 町田JFCジュニアユース(東京都)─ 麻布大学附属渕野辺高校(神奈川県) ─ 拓殖大学(東京都) ─ 川崎フロンターレ ※2008年水戸ホーリーホック JFA・Jリーグ特別指定選手

シーズン所属チーム背番号カテゴリリーグ戦カップ戦天皇杯
出場/得点出場/得点出場/得点
2008水戸ホーリーホック35J25/0─/──/─
2010川崎フロンターレ24J16/00/02/2
201111J132/124/23/2
201211J126/66/23/2
201311J123/58/22/0
201411J130/122/02/0
201511J118/51/02/0
201611J132/152/03/1
201711J134/235/02/0
201811J127/150/02/0
201911J131/134/21/1
202011J127/145/42/0
202111J133/102/04/2
202211J130/51/01/0
202311J116/43/03/0
202411J127/41/01/0
202511J113/11/02/1
2026特別11J12/0─/──/─
2026/2711J10/00/00/0

※2026年9月23日現在

■主なタイトル
J1リーグ優勝 2017年、2018年、2020年、2021年
Jリーグカップ優勝 2019年
天皇杯優勝 2020年、2023年
Jリーグベストイレブン 2016年、2017年
Jリーグ得点王 2017年(23ゴール)
Jリーグ最優秀選手賞 2017年

■日本代表
14試合/2得点