上写真=家長昭博にボールが入ると、特別ななにかが起こるような雰囲気が漂う(写真◎J.LEAGUE)
■2026年9月19日 明治安田J1第8節(観衆22,734人@U等々力)
川崎F 3-3 鹿島
得点:(川)マルシーニョ、伊藤達哉、ペドロ・ホマーノ
(鹿)レオ・セアラ2、松村優太
「自分にないものをいっぱい持っていて」
「これだけ長くリハビリしたのは前十字靭帯を切った21歳のとき以来だったので、すごく難しい時期を過ごしました、今日、久しぶりに公式戦に出ることができて、本当にうれしかったです」
家長昭博は、3-3というスコアで勝てなかったから100パーセントの清々しい表情とはいかないまでも、自らが復帰できたことについて、正直に喜びを示した。
復帰プログラムの中で9月13日のU-21リーグに出場して、右からのクロスでアシストを記録している。それを再現するかのように、この日も86分にピッチに入ったあとに右からクロスを送ってチャンスを作ろうと狙っていった。
ただ、自己採点は辛め。
「いや、今日はあんまり良くなかったですね。チャンスのときに浮いちゃったし。でも個人的には、一歩を踏み出せた感覚もあるので、ちょっとずつチームの力になれるように頑張っていきたい」
復帰戦であると同時に、6月に40歳になってから初めてのトップチームでの試合でもあった。しかも、数々の魔法を披露してきた等々力で、相手チームの監督はともに何度も歓喜を共有してきた鬼木達である。
「鬼木さんはこのクラブにとってはやっぱり特別な方だと思うので、そういう監督と試合できるのも本当にいつも喜ばしく思ってます」
特別な時間を共有してきた恩師の目の前で、大事な一歩を踏み出すことができた。巡り合わせというものは不思議だ。
「試合勘は圧倒的に足りない」としながらも、これまで若手選手とともに汗を流してきた時間が大切な何かを与えてくれたのも確かだ。
「若い選手と一緒にプレーすることが多かったので、改めて自分の歳を感じることも多かったです。でも、若い選手と一緒にやると学ぶことも多くて、自分にないものをいっぱい持っていて、そういうことを踏まえて、この歳で優勝を狙うクラブでプレーできるのはありがたい」
どうしても、年齢差に注目が集まってしまうが、「毎日下は18歳の選手と練習しているので、その延長上が試合であるだけで違和感はない」という。純粋にフットボールをプレーするのであれば、年齢がそれほど重要な意味を持たないことを体感している。
「試合に出ていない選手も毎日、自分自身と戦っていて、その中で自分が成長できるチャンスはあると思います」
そんなふうに、忘れかけているものを思い出す時間は、貴重だ。
「若い選手たちはこれから成功するためにいろいろな壁を乗り越えていかなければならない。僕らも同じようにしなくちゃいけないのに、歳を取るとそういうことから逃げがちになる。でも、立場とか年齢とか関係なく立ち向かっていかないといけないし、そういうことは若い選手の方が力強く言っている部分はあると思う。僕らはそれに学ばないといけない」
若い選手は家長から無限大の刺激を得ているはずで、逆もまた真。数々の美しいプレーを見せてきたレフティーが、また新しい何かを手にして、ピッチに帰ってきた。