上写真=植木颯は前節の課題を改善する役割を果たした(写真◎J.LEAGUE)
■2026年8月23日 明治安田J1第3節(観衆47,781人@MUFG国立)
町田 3-1 浦和
得点:(町)中村帆高、西村拓真、ネタ・ラヴィ
(浦)渡邊凌磨
「リスク管理のところはまだ課題」
3連敗。全11失点。19位。
浦和レッズを包む空気はどこまでも重い。その中で、「植木颯」の存在は一筋の光になったのではないか。
今季3試合目にして初先発。この日のスタートの11人の中で最も若い22歳は、4バックの前のアンカーのポジションに立った。
8分にミスから先制されて苦しい立ち上がりになったが、この日の浦和にはここから一気に盛り返していく気概があった。左シャドーの渡邊凌磨が気を吐いて、チャンスメークにフィニッシュにと先陣を切っていった。それを支えたのが植木のポジショニングであり、パスだった。
「非常にスムーズにできていたんじゃないかなと思います。凌磨くんも前に残れと言われていたわけではなくて、たぶん自分たちに気を使って動いてくれた結果だと思うので、いい循環でできていたかな」
渡邊が前に出ていくことはつまり、自分に後ろを任せてくれた、ということだ。だから、ボールを引き受けることを怖がらなかった。低い位置で積極的に受けて顔を上げれば、パスコースが見えてくる。
「相手が自分のところに食いついてくれれば、ハーフスペースが空くのはやりながら感じていたので、うまく相手を引き出しながらできたのかなと」
J1百年構想リーグでの6試合の出場を経て、今季開幕のガンバ大阪戦で交代出場。1-4で完敗した前節のサンフレッチェ広島戦はベンチ入りしたものの出番がなかったから、町田戦で勝ち取った先発出場は、反省点を数多く残したチームを変えることへの期待にほかならなかった。
「広島戦は出場することはできなかったんですけど、外から見ていてもそうですし、この1週間のトレーニングやミーティングで、反省点として、前と後ろが分断してしまって後ろが持っても簡単にボールを切るだけになってしまうことが多かった、ということがありました。チーム全体の課題として、この1週間しっかり改善して取り組めた結果が、今日の前半のいい時間につながったと思います。サッカーはボールを回すのが目的ではないけれど、自分たちの時間を作ることは大事。それは良かったと思うので続けていきたい」
改善を具現化するという点で、植木は忠実だった。2センターバックに近づいたりその間に入ってまずボールを落ち着かせた。今度は相手のボランチとシャドーの4人に捕まらない場所に立って受けてボールを前進させて、そこからさらに前へと危険なパスを届けた。
「相手のフォワードの選手も(守備に)戻ってくるわけじゃなかったので、ボランチと相手の前線の間が空くのは前半で感じていたところ。そこで1回自分が引き受けて、さらに狭いところに差していくのは、前に技術のある選手が多くてチャンスを作ってくれるので、いいリズムでやれたと思います」
言葉の端々に、プレーを可視化して言語化する能力がにじみ出る。日本の歴代のゲームメーカーに共通した資質だ。
もっとも、渡邊が前半アディショナルタイムに同点ゴールを決めたものの、後半に2点を食らって結果は完敗。前半のいい時間を続けることができなかった。
「何度かカウンターを受けてしまうシーンもあったので、アンカーとしてはそこのリスク管理が求められます。奪われた瞬間にカウンターを止めるというリスク管理のところはまだ課題としてある」
自分たちの分断をつなぐだけではダメで、逆に相手の分断を誘わなければならない。
曺貴裁監督は「植木を含めた新しい選手が矢印を前に向けてくれた」とその名前を挙げて一定の評価を与えた。ただ、このポジションには、この日はシャドーでプレーした安居海渡がいて、68分に自らが代わった瀬古樹も加わっている。攻撃にも守備にも、もっと決定的な仕事ができる存在に成長しなければならない。そのために必要なことは?
「いいところはすごい自信になりましたけど、もっと回数や精度を上げていかなければいけないと思います」
激しいポジション争いに揉まれた未来が楽しみだ。