上写真=知念慶の下支えがあって、横浜FMの攻撃に活力が戻ってきた(写真◎J.LEAGUE)
■2026年8月22日 明治安田J1第3節(観衆36,601人@日産ス)
横浜FM 1-0 神戸
得点:(横)三井寺眞
「選手たちが主体性を持ってできている」
ポストプレーと裏抜けが得意な谷村海那が最前線に立つ。右の近藤友喜、左の三井寺眞のサイドアタッカーは技術と突破力に優れている。トップ下の天野純は変幻自在の左足を駆使して楽しそうにプレーして、ボランチの松村晃助もボールを操って前に運ぶ感覚に優れている。
そんな彼らが踊るように繰り出す今年の横浜F・マリノスの攻撃が、楽しい。
そして、彼らを押し出すように後ろから支えているのが、今季から加わったボランチの知念慶だ。果敢なインターセプトとハードなタックルで中盤で相手ににらみを効かせて、高い攻撃力を備える仲間を自由に踊らせている。その「ボス感」が頼もしい。
川崎フロンターレではFWとしてプレーしたが、鹿島アントラーズでボランチに転向して覚醒した。そして今季、横浜F・マリノスに活躍の場を移して、開幕からトリコロールのメーンキャストに躍り出ている。
9分、16歳の三井寺が鮮やかなボレーシュートが決めてこれが決勝点となったが、知念は深く関わっている。中盤の中央で天野純が持ったときにその左横にポジションを取ってボールを受けて、また返した。ワンツーで中央を破り、そこから天野が左に送ったクロスからゴールは生まれた。
そのパスで、狭いエリアも苦にせず潜り込む天野のテクニックを引き出したのだ。
「純くんや晃助とボールを握ろうという話をしていて、前半は自分たちが持っている時間帯も長かった。欲を言えば後半ももっと持ちたかったですけど、ボールを持って落ち着かせたり、相手の陣地でボールを動かすことができるようになってきた。そういう90分を通してのマネジメントは意識しています」
鹿島戦の痛みを教訓に変えた。終盤に足が止まってしまって、2点差を大逆転された開幕戦の反省を結果に結びつけることができた。
「鹿島戦の教訓というか、ピッチ内で選手たちで話していることも多いですし、監督から提示があるというよりは、自分たちでこうしようと頭を揃えてやっています。選手たちが主体性を持ってできていると思います」
第2節の清水エスパルス戦でも、この神戸戦でも、先制したあとに追加点を奪えないながらも逃げ切りに成功している。そこに、理想と現実をきちんと見極める意識の高まりがあるという。
「理想はもう1点取って終わらせること。でも、それが毎試合できるわけではない。もちろん、次は追加点を取って、もっといい形で楽にゲームを終わらせたいと思いますけど、こういうゲームも絶対ある。そこを守りきれたのは一つの成長だと思うし、選手たちで話してできていることもプラスだと思います」
名門が再生しようとするまさにその中心に、知念の言う選手の主体性がある。
「みんなが自分がやるべき仕事をしてベストを尽くしたと思います。途中から出てきた選手も自分がやりたいプレーではなくてチームプレーに徹して、勝ち点3を取るために全員がベストを尽くした。開幕戦と比べたら良くなっていると思います」
それでもやはり、追加点はほしかった。それが次の課題だ。そのために必要なことは?
「もうちょっと後半にボールを握りたいなと思います」
そのために、ミッドフィールドのハードな守備を自ら引き受けて、仲間を楽しく踊らせていくことだろう。
その熱い意志は、90+1分に表れた。相手とのボールの奪い合いを制してファウルを誘うと、その瞬間に雄叫びをあげ、ボールを地面にたたきつけてあふれる熱情をど派手に表現した。
「ちょっともう頭に血が上って、自分でも何をしてるか分からなくなるんです」と笑わせたが、「そういうパッションは出していきたい」と堂々と宣言した。何のためにこのクラブにやって来たのか、深く理解している。