5月10日の明治安田J1百年構想リーグ第16節で、横浜F・マリノスは鹿島アントラーズを押し込み続けた。先制しながら土壇場で追いつかれ、PK戦で敗れるという結果は悔やまれるが、中盤のトライアングルが示した「基準」を次に生かさなければならない。

上写真=谷村海那のゴールを喜ぶ渡辺皓太(右端)。厳しく戦って主導権を握る原動力に(写真◎J.LEAGUE)

■2026年5月10日 J1百年構想リーグ第16節(観衆:32,182人@日産ス)
横浜FM 1-1(PK4-5)鹿島
得点:(横)谷村海那
   (鹿)レオ・セアラ

「真ん中でどちらが拾うかが大事だった」

「これを基準にしてやっていけばどの相手でも勝てるというのは、たぶん今日みんなが感じたと思います」

 天野純には大きな手応えがあった。

 キックオフから主導権を握り続けてEAST首位の鹿島アントラーズを押し込んだ。58分には天野のアシストから谷村海那が決めて、鮮やかに先制した。

「ユーリ(アラウージョ)が粘ってくれて、海那の動き出しも見えたので、ピンポイントでうまく渡すことができました」

 左サイドでユーリ・アラウージョが濃野公人と植田直通の間を強引に割って出ていこうとしたところでボールがこぼれたが、ここに素早く反応した天野がピックアップ、そのままスピードを上げて左を抜けると、中央の谷村へ。ていねいに右足に当てて角度を変えて、ゴール右へと送り込んだ。

 90+5分にレオ・セアラに決められて同点とされ、PK戦で敗れて、手にするはずだった勝ち点3は1になった。悔やまれる結果に終わったが、ほとんどの時間で主導権を握っていた事実までは変わらない。

「試合が終わったあと、ロッカールームで監督を含め選手からもたくさん意見が出て、これを基準にしていかないといけないと思います」

 天野が示す基準とは「強度」のことだという。

「やっぱり強度ですね。球際のところで今日は相手を上回ったと思うし、ピッチに立っていた11人みんなができていた。その基準を上げていきたいなと」

 鹿島こそ強度が代名詞のようなチームだが、その相手の強みに打ち勝ったことは自信になる。渡辺皓太もそこに光明を見る。

「守備のところでボールサイドではめにいって、完全にマンツーマンではないですけど、ボールサイドマンツーマンのような形はうまくはまっていたと思います」

 高い位置からプレスに出て、ボールをサイドに誘導してから押し込んで圧縮して、その空間の中でマンツーマンの守備でバトルする。そんなシーンが増えたのは大きな収穫だ。渡辺自身が際どいフィニッシュを放った22分の絶好機も、右サイドの高い位置で奪ったところから始まっている。

 そのシーンで、前に出て激しくボールにアタックして奪ってから自ら持ち運び、渡辺にラストパスを届けたのは、ボランチのパートナー、山根陸だった。

「今日は特に真ん中でどちらが拾うかが大事だったと思います。4-4-2と4-4-2だし、ビルドアップのところも、相手はうちのツーボランチに対して1枚しか来ないので、誰かが必ず空きますし」

 天野が言う強度という基準に加えて、山根は「やりたいことをやる」試合運びについてもこの90分を基準にするつもりだ。

「前半から僕たちがコントロールしていたし、鹿島にやりたいことをやらせる時間、シチュエーションも少なかった。すごくチームとして気持ちの入ったプレーが90分を通してできていました。しっかり自分たちがやりたいことができたと思います」

 中盤を司るボランチの渡辺と山根、そしてその前でプレーする天野。この三角形が機能的に輝いて、勝利に限りなく近しい「引き分け」になった。

 もちろん、天野の言うように「最後のところは勝ちきらなければいけない」のは確かだが、それでもこの戦いのすべてが否定されるものではないだろう。