上写真=73分、脇坂泰斗がドリブルからゴール左を射抜いた見事な決勝点!(写真◎J.LEAGUE)
■2026年5月6日 J1百年構想リーグ第15節(観衆:21,743人@U等々力)
川崎F 1-0 東京V
得点:(川)脇坂泰斗
スタンドには飛び込まず
73分、左サイドで相手スローインを引っ掛ける形で前に飛んできたボールを脇坂泰斗はそのままさらに前へと送る。ラザル・ロマニッチがうまく落とし、受けた脇坂は一瞬でギアを上げて鋭くドリブルで運ぶ。そして、ゴール左へと送り込むフィニッシュ。
川崎フロンターレに3試合ぶりのゴールをもたらした決勝点。
「自分の持っている技術と判断が出たゴールだったと思います」
ボールを受けてからフィニッシュまで、チームを引っ張るキャプテンは何を考えていたのか。
「(宮城)天がいいランニングをして、5番の選手を釣ってくれた分、僕へのアプローチが遅れました」
「天に出そうか迷ったんですけど、シュートを打とうと思いました」
ボールを足元に収めた瞬間、左側からゴール前に一気に走り込む宮城の姿を視界にとらえた。そしてもう一人も。
「あそこは判断の連続で、天に出すチャンスもあったし、開いていた長(璃喜)に出すチャンスもあったので、その中でシュートを選択したら決めないといけない」
右へ走り出す長の動きまで視認した上で、自ら仕留めることを決断した。
「あとはシュートブロックされないタイミング、自分が強く振れるタイミングと、思いきって踏ん張って打つぞ、というシュートだとあの位置からだとたぶん入らないので、ランニングしたまま振り抜こうと。走っている分、スピードが(ボールに)伝わるのは長年の感覚であったので、そのイメージ通りというか、狙ったところにきれいに飛んでいってよかったです」
ボールを受けたときにすぐさまスピードを上げたのにも、理由がある。
「これまでもああいったところでスピードダウンして時間を作ることもありましたけど、点がほしかった状況ですし、天のランニングについてくというか、そのスピード感を殺さずにいけば打てるんじゃないかと。センターバック3枚と僕たちだったので、打ち切れる、やりきれると思ってスピードを上げました」
確信のドリブルだった。
浦和レッズ戦、FC東京戦と2試合連続で0-2の完封負け。その責任を、キャプテンとして、そして攻撃の指揮者として感じていた。だから、この試合には「怖いプレーをしようと心がけて入った」という。
「僕の立ち位置、トップ下というのは、怖いプレーが必要になってくるし、それを状況的に使い分けられるのが僕だと思う。あのときはもう行くべきだと思ってスピードを上げました」
その瞬間、まさに「怖い選手」だった。
決めて、吠えて、サポーターが待つGゾーンへ走った。
スタンドに飛び込む勢いだったが、「中に入ってイエローカードもらった選手がいたので、そういう気持ちにはならなかったですけど」と笑わせた。ジェフユナイテッド千葉戦でマルシーニョがゴールを決めたあとにメーンスタンドに入って警告を受けたことを引き合いに出した冗談だが、歓喜の咆哮は「狙い通りだったので、すごい気持ちよかったです」。
チームを勝利に導く絶対的な存在になることは、中村憲剛の背番号14を引き継いだときから目指していたこと。苦しむチームを救ったこの一発を、川崎Fの、脇坂泰斗の逆襲の始まりにしなければならない。