上写真=久保藤次郎いわく、右利きの左サイドは「普通」なのだという(写真◎J.LEAGUE)
■2026年5月3日 J1百年構想リーグ第14節(観衆:21,569人@味スタ)
東京V 1-0 柏
得点:(東)新井悠太
「左サイドになって普通になった」
柏レイソルのリカルド・ロドリゲス監督は5連敗を喫したあとの会見で、目の前の試合の勝利と未来へのチャレンジを両立させたいと力説する。
「来シーズンのACLエリートへの参戦が決定しました。それを踏まえて、来シーズン、最大で61試合と試合数が多いシーズンが我々を待っています。そのシーズンに向けて、16人、17人ほどの選手たちで戦い抜くことができるか、上を目指すことができるかというと、決してそうではありません。ですので、来シーズンに向けてより多くの選手たちをより良い、高いレベルに押し上げ、そして来シーズンに向けての準備を進めることが重要であると思います。それに向けていろいろと試すことが必要ですし、それを実際今日やりました」
というわけで、具体的に言及したのが、島野怜を初めて先発で起用したこと、そして「久保藤次郎を左で試しました」だった。
久保は昨季、柏の一員になってから、リズム変化を多用する独特のセンスのドリブルと、周囲とのため息が出るほど軽快なコンビネーションを右ウイングバックとして生かし、快進撃を見せた柏の象徴的な存在になっていた。日本代表入りを果たしたのも、その攻撃力が評価されたからだ。
その久保が、左ウイングバックでプレーした。
「楽しかったですよ」
というのが、久保の感想だ。
「いろいろローテーションして、どうなるか分からないけれどやってみよう、という感じもあって、楽しかったです。相手も混乱していたかなと思いますよ」
この日の左サイドでは、ウイングバックが久保で、最終ラインは三丸拡、シャドーには汰木康也が入った。久保と汰木が外と中を入れ替えたり、久保が汰木を追い越したり、三丸が飛び出すスペースを作るために久保と汰木がともにサイドからあえて逃げたりと、さまざまな工夫が見られた。
「ボールを取られはしないけれど、もうちょっと怖さは出したかったかな」という反省はあって、最後に失点して試合に敗れた悔しさもあったものの、「頭の中はクリアにプレーできていました」と好感触。「左の久保藤次郎」は大きな可能性を示すことになった。
右と左では景色が大きく違う。でも、「右利きの左」には多くのメリットがあると感じている。
「右足で中に持てるので顔が上げられる。それが楽なので、右利きなら左であれぐらいは正直できると思います。だからこそ逆に、中に逃げていっちゃうことが多いと思うので、縦に行ったりして違いを作りたいと思っていました。それができなかったのは次に向けての課題かなと思います」
ただ、その課題をクリアするために、特別な変化は必要ないという。
「右利きの左サイドだったら、右足でボールを持って仕掛ければよくて、わざわざ得意ではない左足で持つのは考えにくいですよね。右サイドに入るときにはあえて左足で頑張って持つことはありますけど、右サイドであればオーソドックスな形のままで中にも行けるような持ち方になります」
実際に44分には外からドリブルでニアゾーンに切れ込んで、右足でニアを狙うチャンスもあった。あとは、縦に勝負する意識だけでいい。
「だから、左サイドになって普通になったという感じですね。もちろんいつもの右で難しいことをしているつもりはないですけど、右利きにとっては右の方が難しいとは思います。基本的に右利きは左から仕掛ける方が楽だと思うんです」
58分に細谷真大が投入された時点で左からいつもの右に移り、72分には足がつったこともあってピッチを去った。もっと長い時間、左でのトライアルを続けたかった気持ちもあったというが、オプションとしては「全然ありですね。左右どちらでも使えた方が監督は計算が立つと思いますし」と準備はできている。
今季の柏はずっと左サイドが大きな課題になっていて、リカルド・ロドリゲス監督もわざわざ記者会見で小屋松知哉が移籍した穴を埋めきれていないと口にしたことがあるほど。そして、小屋松も右利きの左サイドだった。
彼と同じように変幻自在のドリブルを持つ右利きの久保の左サイド起用は、もしかしたらいまの柏の苦境を抜け出す最適解になるかもしれない。