5月3日の明治安田J1百年構想リーグ第14節で東京ヴェルディが終了間際のゴールで柏レイソルを1-0で下した。殊勲のゴールは、途中出場の新井悠太が決めたもの。苦しみを乗り越えて思わず涙した劇的弾と、もう一つ、大事にしたいプレーがあった。

上写真=新井悠太が劇的な決勝ゴール。左足で強烈に仕留めてみせた(写真◎J.LEAGUE)

■2026年5月3日 J1百年構想リーグ第14節(観衆:21,569人@味スタ)
東京V 1-0 柏
得点:(東)新井悠太

「晃樹くんが決めてくれれば」と笑わせて

「正直、何も狙ってなかったです」

 90分、染野唯月のパスで左に抜け出して、左足でニア下へ鋭いシュート。GK小島亨介が伸ばした右足とポストの間の、ほぼボール1個分の小さな空白をずばりと射抜いた劇的な決勝ゴールの裏側を、決めた新井悠太は素直に明かした。コースが見えていたわけではなかったのだ。

「でも、あの角度はあまり悪いイメージがなかったので、打ったら入る気がしました」

 4連勝をもたらす一発を決めると、そのままサポーターが歓喜するゴール裏に走っていった。仲間にもみくちゃにされて仰向けになると、両手で目を覆った。

「いや、もう、ほんとにあまり、うん、うまくいってなかったんで、それこそ、こう、どうにかして、自分ももがきながらですけど…」

 涙した感情はうまく言葉にできなかった。

 ここまで10試合の出場に留まり、6試合に先発しているが前半のみでピッチを去ったのが2度。50分台にピッチを去ったのも3度あり、個人的には好調なチームの波に乗り切れずにいた。さらに、前節の鹿島アントラーズ戦では66分にピッチに入ったが90分に交代させられた。

「ネガティブな交代ではないと城福監督がおっしゃってくださったので、これから自分がどうするかにフォーカスしました」

 中3日で切り替えて臨んだ柏戦。城福監督には「自分の良さを存分に発揮しろ」と背中を押されて84分にピッチに入った。良さ、とは何かを考えた。「背後へ動くこと、スピード」だと再認識した。ゴールシーンはまさに、左斜め前に向かって相手の背後をスピードで走り抜くスプリントが効いていた。

 もう一つ、納得のいくプレーがあった。

 87分、中盤で激しくカウンタープレスに出て、中川敦瑛とボールの間に体をねじ込んで止めると、こぼれたところを森田晃樹がピックアップして持ち運び、際どいミドルシュートを放ったシーンだ。

「晃樹くんが決めてくれれば、っていうのもあるんですけど」

 と笑わせてから、続けた。

「決めてくれたら、あのプレッシャーがもっと大きな意味になったと思いますけど、あれが自分の中では試合にうまく入るきっかけになりました。ああいったプレスだったり、チームのために犠牲になるプレーを厭わない気持ちが大事です」

 犠牲心。そのことを改めて心に刻み込んだ大切なワンシーンだった。

「なかなかうまくいかないシーズンですけど、こうやってチームの勝利に貢献できたのは一つ大きなポイントかなと思います。これからもう一段階、上に行くために、自分が何をしなければらないのかを再確認できたと思います」