上写真=中川敦瑛のミドルシュートはVARチェックの末に認められた(写真◎J.LEAGUE)
■2026年3月22日 J1百年構想リーグ第8節(観衆:12,733人@三協F柏)
柏 3-0 水戸
得点:(柏)中川敦瑛、オウンゴール、瀬川祐輔
「形はどうでも強引に」
昨季はJ1の優勝争いを演じながら、今季のJ1百年構想リーグでは前節までで1勝1PK勝ち5敗。苦しんでいた柏レイソルが、3月22日の第8節で水戸ホーリーホックを3-0で下して、ついに今季2度目の90分での白星をつかみ取った。
立ち上がりは水戸の素早いプレスに主導権を握られたが、流れを一気につかんだのは15分のワンプレー。それが、ボランチの中川敦瑛が鮮やかなロングシュートだ。
ショートコーナーをつないで左サイドの三丸拡からのパスを中央で受けると「前に相手の選手が来てなかったので、思いっきり振ってみようと思った」とほぼ30メートルの距離から右足を振り抜いた。鋭くアウトにかかったボールはバーに当たって真下に落ち、跳ね上がったところを水戸のGK西川幸之助がはじき出した。この時点でレフェリーのホイッスルは鳴らず、プレーは続いたが、VARからの進言を受けた上田益也主審が得点を認めた。第4節のFC東京戦以来、4試合ぶりの先制ゴールだ。
ここから柏のペースとなり、31分にも右サイドを突破した久保藤次郎の低いクロスからオウンゴールを誘って2-0。後半に入ると水戸が、渡邊新太、鳥海芳樹、仙波大志と連戦で温存した本来のレギュラークラスを投入して反撃してきたが、これをしのいで、57分に瀬川祐輔、垣田裕暉を送り込んで攻撃の活性化を狙った。すると、83分に小泉佳穂のクロスを瀬川が鮮やかなボレーでたたき込んだ。
3得点、無失点ともに今季2度目。3-0のスコアでの白星は、今季初めてと言っていい快勝だった。
ここまでの苦戦も相手に圧倒されて敗れていたわけではない。昨季からリカルド・ロドリゲス監督が推し進めているポゼッションサッカーで押し込むことはできていて、ただ決定力を欠く試合が続いていた。開幕前から負傷者や体調不良の選手が相次いだことや、柏のサッカーを研究されたことも、確かに大きかった。それでも主導権を握ることはできていたわけで、とにかく「結果」が出なかったのだ。
ここまで複数得点を奪えたのは開幕戦の川崎フロンターレとの3-5という打ち合いと、唯一90分での勝利を挙げたFC東京戦の2-0の2試合のみ。敗れた試合はすべて無得点か1得点と、得点が奪えなかった。
ストライカーの細谷真大や垣田に頼るのではなく、どこからでも点が取れるのが柏の強み。特に昨季はシャドーの小泉がキャリアハイの7ゴールを決め、右ウイングバックの久保も同じく7点を挙げたように、前線で手厚く攻撃に関与する選手がゴールを挙げることで攻撃を完結させていた。そこに3列目からゴールをうかがうボランチの選手が得点できるようになれば、決定力はさらに上がることになる。
ロドリゲス監督も「チームとしてきれいなゴールを目指しすぎているところがある。まず(貪欲に)ゴールを目指すことが大事で、形はどうでも強引に狙っていこうと話している」と不調を抜け出すポイントを明かす。それを実践した中川を引き合いに出して、「前の浦和戦でもバーに当てるミドルシュートを打っており、彼の得点に期待している」と3列目からの驚きのシュートを称賛した。
中川自身も自覚している。
「相手が思ったより引いていたので、もう振るしかないなという気持ちで打ちました。そうすることで相手も出てくると思いますし、空いているエリアを自分たちがうまく使えれば、レイソルらしいコンビネーションで点を取れる」
ゴールに直結すれば、もちろんベスト。そうではなくても「レイソルらしさ」を引き出すスイッチとしての遠目からのシュートに大きな効果を感じている。
もともと攻撃的MFとしてプレーしてきただけに、得点への感覚は備えている。この日は前半は原川力と、後半は新人の島野怜とボランチのコンビを組んだ。「(パサーの)力くんとは攻守のバランスを考えながら連係を取り、怜に代わってからは(フィジカルが強く)守備力があるのでより前目に絡んでいきました」と役割を調整しながら攻撃に絡むクレバーさも示していた。
この勝利を反撃のきっかけとしなければならない。そのカギを握るのが3列目のボランチの攻撃への関わりで、直接、得点を挙げることができれば理想だろう。中川のミドルシュートに磨きがかかれば、柏のチームとしての決定力も上がることは間違いない。
文◎国吉好弘