上写真=勝利の雄叫びを上げるリカルド・ロドリゲス監督。柏が後半に加えた変化で初勝利を手にした(写真◎J.LEAGUE)
■2026年2月28日 J1百年構想リーグ第4節(観衆:21,869人@味スタ)
FC東京 0-2 柏
得点:(柏)垣田裕暉、瀬川祐輔
「形」と「意識」を変えた
FC東京が仕掛けてきた執拗なボール狩りにミスを誘発され、柏レイソルはキックオフからリズミカルにボールを走らせることはできなかった。引っ掛けられてショートカウンターを浴び、決定的なピンチを次々に作られた。
それでも、ポストに助けられたりしながらなんとか無失点で乗り切って、迎えたハーフタイム。
リカルド・ロドリゲス監督が選手たちに伝えたのは、守備の修正ではなかったという。
「守備のハイプレスのところに関しては前半うまく機能していたので、ハーフタイムに特に修正を加えたところはチームとしてはありませんでした。修正したのは攻撃の部分、ビルドアップの部分でした」
後半が始まって間もない54分、左サイドから相手の埋めきれないスペースにボールを動かして、中川敦瑛からワイドに開いた小見洋太に届け、右足でクロス、垣田裕暉がダイビングヘッドで仕留めた。
82分には今度は右サイドを流麗なコンビネーションパスで崩していって、久保藤次郎の折り返しを瀬川祐輔がシュート、ブロックされたが再び瀬川が流し込んで、勝利を引き寄せる追加点を奪った。
共通するのは、ウイングバックが深い位置を取ってゴールに強く関与していることだ。リカルド・ロドリゲス監督からはどんな指示があったのか。先制点をお膳立てした小見が説明する。
「ウイングバックのところでの高さ調節に関してですね。自分に該当するところでもあるので、用意してきたものとは多少違う部分ではあったんですけど、しっかり修正して後半に入れて、前半よりスムーズにゲームを進められたのかなという感覚はあります」
高さを「調整」したということは、より高い場所に立ったのか、と投げかけてみると「そこはちょっと控えておきます」と笑いながら明言を避けた。ただ、小泉佳穂が後半に「少し形を変えた」と話していること、深くに入り込んだ両ワイドから2つのゴールが生まれていることから、変化の一つはこのポジショニングにありそうだ。
あくまでイメージだが、同じ3-4-3システムでも、前半は中盤でウイングバックがボランチと並ぶ「4」、前線が2シャドーと1トップの「3」。後半は前線でウイングバックがウイング化して1トップと並んだ「3」で、中盤は小西雄大がアンカー、中川がボランチから左前に一列出て、小泉佳穂が右、山内日向汰が頂点になるダイヤモンド型の「4」だろうか。
この後半の変貌について、小泉が続けた解説はさらに深く興味深い。
「ボールホルダーが限定されてプレッシャーがかかった状態でパスが出て、その先でまた限定されていく、というのではなくて、ボールホルダーに常に選択肢がたくさんあって、それを匂わせることができたら、相手のプレッシャーを止められるし、もしくはプレッシャーが来たその脇を通せる。それができるようになったのが後半。形を変えたこともあるし、選手たちが話して意識的なところを少し変えたとところも良かった」
それは、この試合の前半だけに限った課題ではない。体調不良やケガ、出場停止などが重なったものの、まさかの開幕3連敗で浮き彫りになった大きな反省点でもあった。
「ボールホルダーに対して選択肢を常にいくつか提示することができたら、敵のプレッシャーも止まる。相手の足を止めることができて、さらにボールホルダーに時間が生まれる。そういういい循環が生まれてくるんですけど、ボールを持っていない人たちが相手に影響を与えて、味方に選択肢を与えて、というのがまだちょっと全体的に足りていない」
「限定された状態でボールを受けなきゃいけない、プレッシャーを食らった状態でボールを受けなきゃいけない。そういう状況がちょっと多く見られるかなと思っているので、そこは一つ、分かりやすく大きな修正ポイントだと思います」
ボールを持たざる者の威力。それを取り戻せば柏は強いのだということを、後半の変容と初勝利が改めて教えてくれる。