上写真=61分に登場してリズムを取り返したのは、家長昭博の力が大きい(写真◎J.LEAGUE)
■2026年2月15日 J1百年構想リーグ第2節(観衆:16,389人@フクアリ)
千葉 0-0(8 PK 9)川崎F
「いっぱい触りたかった」
主役は最後にやってくる。
0-0のまま迎えたPK戦。ジェフユナイテッド千葉のサポーターが陣取るゴールに向かって、ともに8人目まで成功させた。9人目はどちらも枠の外へ。10人目、先行の千葉の小林祐介のキックをGKスベンド・ブローダーセンが右に跳んでストップした。
そして川崎Fの10人目は、家長昭博である。
「なんも感じなかったです」
決めれば勝ち点2を手にできるシチュエーションでも、百戦錬磨のレフティーは動じない。両チーム合わせて20人目でフィールドプレーヤーではラスト。GK若原智哉の伸ばした手の先へ、ゴール右へときっちり決めきって、右手の人差し指を立てて軽くジャンプすると、集まる仲間と輪になって、爽やかな笑顔で勝利を喜んだ。
「回ってくるとは思わなかった。10番目なんで外しても仕方ない」とうそぶきながらも、リラックスと集中のキック。前節で決勝点を挙げた松長根悠仁が家長の直前のPKを失敗していて、若手思いの家長がそのミスを帳消しにしてあげた格好になった。
開幕戦では出番はなく、この日もベンチスタート。キックオフ直後から千葉に押されて、前節で5得点を挙げた攻撃が沈黙した。長谷部茂利監督は61分にマルシーニョと家長を同時に投入。すると、明らかにリズムが変わった。
長谷部監督は「マルシーニョのスピードが良かった」と言及したが、家長がボールを足元に収めて稼いだ時間がどれだけ役に立ったことか。
「相手のペースでもなく自分たちのペースでもなく」と感じていた時間に登場して、「ボールをいっぱい触りたかった」とどっちつかずの流れをこちらに引き寄せようとした。それまではミスが重なりボールが相手にこぼれる場面が多く、守勢に回らされていたが、家長にボールが集まることで味方が前を向いてボールを運ぶことができて、マルシーニョの速さを生かすパスも出すことができた。
それでも結局ゴールは生まれず、勝ち点2を拾った形の幕引き。
「個人的には、90分で勝って勝ち点3で、PK戦で勝って2というのは、もっと90分で勝つ価値を高めてほしいと思っている」
そんな思いを明かしたが、それは自分がピッチに立ってチャンスを増やした後半に決めきって、自分たち自身の力で90分以内に仕留めなければならなかった、という戒めでもある。