明治安田J1百年構想リーグ第1節で、柏レイソルは2月8日に川崎フロンターレと対戦。ゴールの奪い合いを演じた90分だったが、結果は3-5と黒星だった。それでも、0-3の劣勢からにじり寄った攻撃力はやはり魅力的。小泉佳穂、久保藤次郎に加えて、原田亘の存在感が際立った。

上写真=細谷真大(左)のゴールをアシストして祝福する原田亘。自慢の攻撃力と本職の守備の両方で効果的な働きを見せた(写真◎J.LEAGUE)

■2026年2月8日 J1百年構想リーグ第1節(観衆:22,226人@U等々力)
川崎F 5-3 柏
得点:(川)エリソン3、松長根悠仁、脇坂泰斗
   (柏)細谷真大、瀬川祐輔、山内日向汰

交代出場、即アシスト!

 前半25分までにエリソンにハットトリックを許す苦しい展開を強いられた柏レイソルは、リカルド・ロドリゲス監督がハーフタイムを待たず、35分に右センターバックの馬場晴也に代えて原田亘を投入した。

 すると登場からわずか3分の38分、ペナルティーエリア右のハーフスペースに入り込んだ原田が小泉佳穂からのパスを受け、一瞬の間を置いてゴール前へ送る。これに反応した細谷真央が立ち足の後ろを通すヒールキックで流し込み、1点を返した。

「0-3のまま(前半を)終わってはいけない」と危機感を覚えたロドリゲス監督の狙いがさっそくかなったプレーだった。

「前半のうちに1点か2点を返しておけば後半の反撃につながる」というロドリゲス監督の思惑通り、後半は柏のペースが上がり主導権を握って川崎Fのゴールを脅かしていく。61分には瀬川祐輔が決めて1点差とし、68分にCKから松長根悠仁をフリーにして再び2点差とされても、81分には右サイドを崩して久保藤次郎が上げたクロスからこぼれたところを山内日向汰が決めて追いすがった。

 その直後には左から展開して流れたボールに原田が勘良く走り込んでシュート。惜しくもサイドネットの外側に飛んでしまったが、ここで追いついていれば逆転もあり得たというシーンを作り出した。

 結局、アディショナルタイムに1点を追加されて3-5で敗れたが、0-3になってから、あるいは原田が登場してから、柏が優位に試合を進めて多くのチャンスを作り出したのは明らかだった。ウイングバックの久保、シャドーの小泉、そして原田で構成する右サイドが柏の強みとなって川崎Fを苦しめた。

 交代出場して、即結果を残した1点目のシーンについて、原田はポジション取りの工夫を明かす。

「藤次郎を追い越す動きより中へ入ったほうが相手がいやかなと思って(あのポジションを取った)」

 久保の動きを意識して攻め上がったアクションは、小泉のボールの運び方からパスが出てくることを予測した動きでもある。3人のコンビネーションが柏の大きな武器であることを改めて証明した。

 J1で2位に躍進した昨シーズンも3人のコンビネーションは対戦相手を苦しめ、数多くのチャンスを作っていた。鋭い縦への突破でE-1選手権の日本代表にも選ばれた久保や、華麗なボールさばきとパスセンスが際立つ小泉と比べてしまえば、原田はやや静かな印象かもしれない。しかし、ゲームの流れを読んだ効果的な動きや、ボールコントロールもキックもミスなくプレーすることで、チームへの貢献度は極めて高い。

 しかも与えられているのは3バックの右。守備に軸足を置くポジションながら攻撃への参加は鋭く、しかもちゅうちょなく頻繁に攻め上がることができる正しい判断力も大きい。

 もっとも、このゲームでは守備面でも大きな改善を施している。

 3点を奪われるまで伊藤達哉にチャンスを続けざまに作られていたが、原田が入ったことで修正に成功している。だから、攻撃でのパワーアップはもちろんだが、守備の修正の意味合いがより大きかったはずだ。その工夫は、原田のこの言葉に示されている。

「(交代出場して)藤次郎に三浦(颯太)選手に速くつくように指示して、自分は伊藤選手にボールを持たせないようにしました。持たせるとうまいので」

 相手の左サイドを封じるという主たるタスクを完遂するために、久保との縦関係を明確にした。相手の左サイドバックの三浦を久保に見張らせ、後ろから自分が伊藤をチェックする役割分担に切り替えたことが功を奏したのだ。

 その上で、得意の攻撃参加がより生きた格好となった。

 この日は勝利につなげることはできなかったが、原田と右サイドの強みは発揮したと言えるだろう。昨季のサッカーをさらに高めてタイトルを狙うには、この「右のトリオ」が大きなカギを握るはず。左サイドは小屋松知哉とジエゴが抜けて再構築を進めている段階だから、なおさらだ。

 百年構想リーグは短期決戦で連敗は許されない。おそらく原田の先発出場が予想される2月15日の次戦、ホームの東京ヴェルディ戦に注目したい。

文◎国吉好弘