上写真=中村帆高は復帰3試合目でフル出場を果たした(写真◎J.LEAGUE)
■2025年11月9日 J1第36節(観衆:46,838人@国立)
町田 0-1 FC東京
得点:(F)安斎颯馬
「バチバチに行こうと決めていた」
中村帆高にとって、FC東京とのこの一戦は特別なものになった。昨年まで所属したクラブと戦う、初めての古巣対戦だったからだ。
しかも、FC町田ゼルビアに移籍した今季、足のケガで思うようにプレーできず、これがまだ3試合目の出場。残り試合も少ないいま、新しいチームで少しでも早く自分の価値をプレーで証明しなければならない。
「古巣と戦うのは初めてだったので、どんな気持ちになるか、ここに来るまで分かりませんでした。あまり考えないようにしてたんです。ただ、選手やスタッフ、ファン・サポーターの姿を見たら、こみ上げてくるものはやっぱりありました」
ただ、その感傷もいっときのこと。
「いまはゼルビアの選手なので、その気持ちがプレーにつながることはありません。タスクを全うすることしか考えていなかったです」
そのタスクとは、相手の左サイド──俵積田晃太と室屋成の攻撃を、この日は3バックの右に入った望月ヘンリー海輝と連係して封じることだった。
「このサイドは堅かったというか、どちらもお互いにやりたいことをいかに出させないか、というところに注力した部分がありましたね」
特に、同じサイドバックである室屋との対決には特別な感情があった。
「もうずっと追いかけてきた選手ですからね。本当にうれしかったです。シンプルに一番大好きな先輩なんで。もうバチバチに行こうと決めていたし、絶対に引きたくなかった。だから、圧はかけられたんじゃないかなと思ってます」
だが、87分にカウンターから自分のサイドを突破されて失点し、0-1で敗れた。
「ここで下を向いている奴はもう必要ない、と(黒田剛)監督もおっしゃっていました。まさに本当にその通りだと思いました。今回の負けは受け入れて、戦えるメンタリティーを作って頑張りたい」
復帰してから初めてフル出場できた喜びもあるが、負けは負け。ただ、リベンジの機会がすぐにやってくるのは幸運かもしれない。11月16日、またもやFC東京と、同じ国立競技場で天皇杯準決勝を戦う。
「またやる機会があれば、譲りません」
次は一発勝負のトーナメントだ。今度はしなやかに駆け上がる自身の持ち味を、思う存分発揮してみせる。