アルビレックス新潟が降格の危機に直面している。10月18日に明治安田J1リーグ第34節で東京ヴェルディに0-1で敗戦。次節にも降格が決まる可能性が出てきた。ゲームキャプテンの早川史哉には手応えがあっただけに、ゴールを奪えないもどかしさを吐露した。

上写真=早川史哉は調子がいいだけに悩ましさも募る(写真◎J.LEAGUE)

■2025年10月18日 J1第34節(観衆:17,497人@味スタ)
東京V 1-0 新潟
得点:(東)谷口栄斗

「プレッシャーに感じなくなっている」

「なんでなのか……僕も分からないです。あれだけチャンスをチームとして作って、決められないっていうのは。うん、どうしたらいいんでしょうね。分かんないです」

 アルビレックス新潟のゲームキャプテン、早川史哉が深い悩みをとても小さな声で吐露した。

 前半は押し込まれる時間が長く、36分に失点もしている。だが、後半に逆襲し、長い時間、相手陣内に押し込んだ。相手のクリアボールも回収し、連続で攻撃を仕掛けた。

 53分に左からの橋本健人のクロスに、ブーダがヘッドで狙った。58分には右からのマテウス・モラエスの折り返しにブーダが飛び込んだ。1分後には左クロスにマテウス・モラエスが左足ボレー。さらに1分後の右からのCKでブーダがフリーでヘディングシュート。69分には奥村仁がカットインから狙った。

 だが、いずれもゴールネットを揺らすことができなかった。ビッグチャンスはこれだけたくさん作っていた。だからこそ、早川は「分からない」と悔やみきれずに言ったのだ。

「負けたチームが言うことじゃないんですけど、特に後半はやることはやったと思っているので、結果がついてこないということだけが、どうしてなのかと正直、思います」

 この日は失点のシーンで染野唯月に体を当てられてアシストを許したが、そこは本来は舞行龍ジェームズがいるべきポジション。でもボールにアタックに行かざるを得なかったから、空いたスペースを早川が埋めるほかなかった。ボランチをもっと下げてボールに寄せるように指示し、舞行龍を動かさないようにすべきだった、と細かな戦術的なミスを反省した。

 ただ、それだけ見えているのは、個人的に調子がいいからだとも言える。

 早川自身は4試合連続で先発していて、いずれもセンターバックの左で安定したパフォーマンスを続けている。「調子が上がってきて、いろいろなことがプレッシャーに感じなくなっている」と、相手からの圧力も気にならず、周囲がよりよく見えるようになってきたと明かす。失点のシーンで相手と味方の動きをすべて把握できていたと話したのはその証拠で、でも、だからこそ、味方を動かして対応できなかった一瞬を悔やんだ。

「後半はしっかりとボールを持って押し込んで、相手が蹴ったボールやフォワードに当てようとしたボールは、センターバックとボランチでしっかりとフタをするというか、縦関係を築いて、しっかりと2次攻撃、3次攻撃につなげることはできていました。手応えを感じていたので、それだけに点が取れなかったのは課題というか、悔しさが残る部分です」

 次節は、10月26日日曜日にヴィッセル神戸をホームに迎える。ただ、その前日、25日土曜日に横浜F・マリノスがサンフレッチェ広島から勝ち点1以上を手にすると、その時点で降格が決まってしまう。

「みんな、各々がチームとして出せるものはこのピッチで表現したと思っています。ただ、それに対して結果がついてこなかったことにしっかりと目を向けて、もう1回、残りの試合でもっと明るいものにできるように、自分自身もそうですし、チーム全体で矢印を向けてやっていく以外にない。それが、どういう状況であれ、来シーズンにつながる第1歩になると思うので、自分たちの選手としての責任でしっかりと戦っていきたい」