10月4日の明治安田J1リーグ第33節で、サンフレッチェ広島とFC町田ゼルビアが対戦した。勝ち点55で得失点差も同じ、優勝争いへの生き残りを懸けた5位・町田と6位・広島のサバイバルマッチは、後半に先制した町田が勝利に近づいたかに見えたが、広島が88分に同点ゴール。さらに後半アディショナルタイムに勝ち越して劇的な逆転勝利を収め、優勝への望みをつなぐ勝ち点3をつかんだ。

上写真=広島は88分、韓国代表DFキム・ジュソン(37番)がCKをヘッドで合わせて1-1とする同点ゴール(写真◎石倉利英)

■2025年10月4日 J1リーグ第33節(@Eピース:観衆25,877人)
広島 2-1 町田
 得点:(広)キム・ジュソン、トルガイ・アルスラン
    (町)相馬勇紀

試合終了間際に連続ゴール

 広島は立ち上がりの5分過ぎ、FW木下がドリブル突破を図った際に左足太ももの裏を痛めたようで、わずか9分でFWジェルマンとの交代で退くアクシデント。それでも一進一退の攻防の中で何度かチャンスを作ったが、15分にMF田中のパスからMF中島が左足で狙ったシュートが町田GK谷に阻まれるなど、なかなか得点を奪えない。

 町田も19分にエリア内左サイドからMF下田が狙ったが、広島GK大迫のセーブに遭う。31分にエリア内右サイドからFW藤尾が右足で狙ったシュートは、ジャストミートせず左へ。その後は広島もセットプレーなどでチャンスを作ったものの、スコアは動かず0-0で前半を終えた。

 後半も一進一退の攻防が続いたが、50分に町田がスコアを動かす。敵陣でのボール奪取から左サイドでパスを受けたFW相馬が、エリア内に持ち込んで広島DF佐々木のタックルより早く左足を振り抜き、ゴール右スミに蹴り込んだ。
 
 その後は広島が選手交代を交えて圧力を強め、左右からのクロスやセットプレーで何とかゴールをこじ開けようとするが、町田は守備陣がことごとくはね返しす。深く引いて守る守備の前に攻めあぐねる時間もあり、少しずつ時計の針が進んでいった。

 だが88分、広島は右CKを得ると、MF菅のキックにDFキム・ジュソンがヘッドで合わせて同点。今季途中に加入した韓国代表DFの来日初得点で、土壇場で同点とした。

 これで勢いづいた広島は後半アディショナルタイム、再び右CKを菅が蹴ると、ゴール前のポジション争いで町田DF昌子が広島の佐々木を倒したプレーがファウルの判定となり、PKを獲得。90+5分にMFトルガイ・アルスランが決めて勝ち越した。

 広島は劇的な逆転勝利を収め、勝ち点を58に伸ばして5位に浮上。5日に試合を行なう首位の鹿島アントラーズとの勝ち点差を6に縮め、残り5試合で優勝争いに踏みとどまった。

取材・写真◎石倉利英

▼出場メンバー
・広島:GK大迫敬介、DF佐々木翔、荒木隼人、キム・ジュソン、MF中野就斗(61分:新井直人)、塩谷司(61分:トルガイ・アルスラン)、田中聡、東俊希(61分:菅大輝)、FW中島洋太朗(76分:加藤陸次樹)、川辺駿、木下康介(9分:ヴァレール・ジェルマン)

・町田:GK谷晃生、DFドレシェヴィッチ、昌子源、中山雄太、MF望月ヘンリー海輝、前寛之、下田北斗(89分:桑山侃士)、増山朝陽(81分:林幸多郎)、FW西村拓真(65分:ナ・サンホ)、相馬勇紀(81分:仙頭啓矢)、藤尾翔太(65分:ミッチェル・デューク)