9月20日の明治安田J1リーグ第30節で、20位のアルビレックス新潟が19位の横浜FCに0-1で敗れた。このクラブの過去をいまにつなげ、未来に広げていくために、高木善朗が自分にしかできないことを実行していく。

上写真=在籍8年目。高木善朗は短い出場時間でもクラブへの思いをピッチでぶつける(写真◎J.LEAGUE)

■2025年9月20日 J1第30節(観衆:9,462人@ニッパツ)
横浜FC 1-0 新潟
得点:(横)アダイウトン

「一緒に戦っていこうと」

「これだけ不甲斐ない試合を続けていたら、彼らも限界を迎えるんじゃないかなと思います」

 アルビレックス新潟のサポーターたちはここまで10試合で一度も勝てなくてもブーイングはせず、ずっと前向きな声援を送り続けてきた。しかし、順位が一つ上の横浜FCに0-1で敗れると、たまっていた思いが吹き出し、不満を隠すことができなかった。試合後に選手たちがゴール裏で彼らの切実な思いに耳を傾け、高木善朗もそれをじっと聞き、受け止めた。

「自分たちはもうやるとしか言えないので、可能性ある限り最後までやるし、一緒に戦っていこうという風になりました」

 お互いの思いを確認してまたともに前を向いたが、サポーターからは大切な要求があったという。

「サポーターの方々も何かを変えてほしいと言っていましたし、もっとチームとして一つになって戦ってほしいと言われました」

 結果が出ない状況に漂いがちな不穏な推察がチームをすっぽりと包み、サポーターを不安にさせていた。

「周りからそう見えてしまっているということは自分たちの責任だと思って、しっかりもう1回、一つになることです。何かを変えるというのは、一人ひとりがしっかり何かをチームに還元したり、何かを要求したり、そういうことが大事になってくると思います」

 高木はこの日、86分に先制された直後の88分に投入されて、同点ゴールを目指した。今季は14試合に出場しているが、先発は2試合だけで、終盤にピッチに送り込まれることが多い。劣勢の中、短い時間で何かを成し遂げなければならない難しい立場にある。

 それでも、在籍8年目を迎えたこの人にしかできないことがある。

 試合前にサポーターたちの声を拾うと「結果がどうかの前に、不格好でもいいから最後の最後まであがいてほしい」と口を揃えた。「戦う姿を見せてほしい」と。

 そんなサポーター一人ひとりの切なる思いと、歴史もいまも未来もすべて背負って、残り8試合に向かっていく。