上写真=藤原奏哉(右端)ら選手たちがサポーターの思いを受け取った(写真◎J.LEAGUE)
■2025年9月20日 J1第30節(観衆:9,462人@ニッパツ)
横浜FC 1-0 新潟
得点:(横)アダイウトン
「サポートしながらゴール前に」
「選手やコーチ、スタッフは移籍だったり移動があるかもしれないけど、自分たちには新潟しかない」
横浜FCに0-1で敗れて、アルビレックス新潟のキャプテンマークを巻いた藤原奏哉と選手たちは試合後、ゴール裏に留まった。球技場だからまさに目の前にいるサポーターに、そう伝えられたのだという。
「毎試合勝てない中でも応援してくださって、アウェーでも本当に大勢の方が来てくださって、まず申し訳ない。そして、本当にいつも感謝してます」
ここ11試合で1分け10敗。最下位から抜け出せない。ほとんどの試合でまったく歯が立たないわけではないのに、勝ち点を手にできないもどかしさ。
「相手も前から激しくプレスに来る感じではなかったので、はっきりとやることで、自分たちのリズムで落ち着いてボールを回しつつ、攻撃の機会をうかがいながら、前の方でプレーできたと思います。ただ、ゴールにはうまくつなげることができなかった。そして、一瞬のスキを突かれた。今日は本当に勝たなきゃいけない試合だったので、悔しいです」
横浜FCは自陣に入ってきたらボールを狙い、さらに前進されたら人をつかむ、という基準を徹底させていたと、三浦文丈監督が明かしている。これに対して、新潟は相手陣内に入るところまでは技術でかわせたとしても、5人の最終ラインと4人の中盤で「渋滞」を意図的に作られたエリアで人をつぶしに来る守備戦術を崩すことができなかった。
「主に左から進入することができて、後半も特に(橋本)健人からのクロスが多かったけれど、そこに対してどう入っていくのかがチームとして整理できてなかったのかな。押し込んだ中で誰がどこに入るのか、もう少し整理できれば、セカンドボールも拾いやすくなって、シュートも打ちやすくなるので、そこはちょっと考えなければ」
藤原はJ2時代から数えて新潟で5年目のシーズンを戦っていて、この試合を含めて26試合、2340分にプレーし、チームで2番目に長くピッチに立っている。だから、チームの変化を長期でも短期でもダイレクトに表現してきた立場である。
そうして積み上げたのが、この日の橋本や、堀米悠斗の場合も左サイドバックがコンビネーションで相手陣内深くを攻略し、その分、右サイドの攻撃はサイドハーフの個の力を生かすスタイルだ。
右サイドバックの藤原は、左で崩して右で刺すパターンでは貴重なフィニッシャー役も務める。これまでもゴール前に入り込むことができてはいたが、この夏に選手が多く入れ替わった難しさは、こうした細部ににじみ出てしまう。
「今日はマテウス・モラエスがドリブルでうまくはまっていたので、そこをうまく使えて前進できていました。相手のウイングバックと1対1の状況で1枚はがせば、相手のセンターバックが出てくる。そこを(長谷川)元希とブーダとのコンビネーションがもう少しうまくできれば、簡単にゴール前まで運ぶことはできたのかなと」
そのために、藤原は後ろからマテウス・モラエスを押し出してあげる役目を優先した。
「チームは毎年変わりますし、僕自身もプレー選択のところでいまの状況を踏まえると(自分で前に出ることが)減ってしまったけれど、それよりいまはサイドハーフがドリブルできる選手がいるんで、サポートしながらゴール前に入っていければなと思ってます」
残留圏内の17位までは8ポイント差。残りは8試合。
「僕たちもここに所属している限りは1試合1試合、新潟で戦っていくつもりなので、その気持ちを今日来てくださった方、いつも応援してくださっている方にも届けられるような試合が次はできればなと思います」