上写真=小原基樹が左サイドからチーム全体を活性化している(写真◎J.LEAGUE)
■2025年8月31日 J1第28節(観衆:30,968人@埼玉ス)
浦和 1-0 新潟
得点:(浦)マテウス・サヴィオ
できるだけシンプルに
「僕の責任だと思います」
左サイドハーフのポジションに入って前半から多くのチャンスに絡んだ。果敢なドリブルからシュートも3本放った。でも、一つも決められなかった。だから、小原基樹は浦和レッズに対する0-1の敗戦は自らのせいなのだとうなだれた。
アルビレックス新潟はこれで9試合も勝ちがなく、しかも8つも負けていて最下位から抜け出せない。それでも変化の兆しは確かにあって、川崎フロンターレ、鹿島アントラーズ、浦和と戦ったここ3戦では、相手を脅かすに十分な攻撃を見せている。
浦和戦で小原は6分、8分に立て続けに左からのカットインでシュートに結びつけた。そのあともゴールに向かうルートを最優先に選ぶアクションの数々は清々しくて気持ちがよくて、その姿勢はチーム全体に伝播していく。
チームの変化の源が、夏に加わったその小原にあると、キャプテンの堀米悠斗は言う。
「小原選手が出てきてから、あそこでかなり時間を作れるので、人数をかけて攻撃できるんです。周りが上がっていく時間を作ってくれる。簡単に失わないので、そこはすごく違いを感じています。右利きでカットインもあるし、縦にも仕掛けられるし、相手が寄せてきても動じないウイングが来たことは大きい」
まさに、その3試合で小原が先発している。そして、小原自身もその特徴をこのチームに還元できている実感がある。
「時間を作るところだったり、仕掛けるところ、それをうまく使い分けながら、相手が嫌がるプレーをしようと思っていました。シュートまでいける形も作れましたし、そこはよかったのかなと」
その使い分けは堀米も意識しているところで、サイドバックのポジションから背中を押すようにふるまう。
「仕掛けさせるときと、外を回ってあげて中にカットインしてもらうときと、選択肢は多く用意してあげたい。あとは、できるだけシンプルにまずボールをつけてあげて、どんどん仕掛けさせてあげることで一番良さが出ると思うので、あまり余計なことはせず、シンプルに使って動く、使って動く、を繰り返しながらプレーしようと思ってます」
サイドハーフの動きを見て意図を汲みながらサポートするのは堀米の特徴でもあって、それぞれの強みがフィットした。
川崎F戦、鹿島戦は橋本健人がサイドバックで、この浦和戦は堀米。小原も2人の持ち味を生かすことに意識を向ける。
「健人には健人の良さがあって、ゴメくん(堀米)にはゴメくんの良さがある。そこを最大限に引き出しながら、自分の特徴もうまく分かってもらえるような、そんな声かけや連携がうまくできています」
迷いのないシャープなドリブルが苦しむチームに与えているポジティブなパワーは、とても大きい。