上写真＝橋本拳人は大敗の中で、今後につなげるためのヒントを探していた（写真◎J.LEAGUE）
■2025年8月24日 J1第27節（観衆：27,591人@味スタ）
FC東京 0-4 京都
得点：（京）ラファエル・エリアス3、鈴木義宜
「戦い方自体の問題なのか」
「言葉が出ない」と橋本拳人。「入り方を間違えてしまった」と小泉慶。
5月にアウェーで0-3の完敗を喫した京都サンガF.C.にホーム借りを返そうと意気込んだゲーム。そこで0-4という屈辱的な大敗で壮大な返り討ちを喫した直後だから、もちろん表情はとことん硬い。
最初の2つの失点はPKからで、特に2失点目はゴールキックからビルドアップするところを狙われたもの。まんまと相手の策略にはまって力負けしたことを認めるしかない。
「勢いに乗っているチームにああいう失点をしてしまうと、もっと行けると思わせてしまう」
小泉は首位争いを繰り広げる京都の激しいプレスを回避できなかったショックを隠せない。
もちろん、京都の戦い方は十分に分析していた。小泉も橋本も「1枚はがせばチャンスになる」と同じ言葉で狙いを話し、チーム内で共有できていたことを示す。だが、実行に移す前に機先を制された格好になった。
「個人としては、ボールをつなぐことを求めていることに対して、打開しようとしすぎて判断のところで間違えたり、サイドチェンジの質はもっと精度を上げていかないといけない」
小泉の反省は巡り巡って、判断と技術に尽きるというシンプルな事実に集約される。
「精度の問題なのか、戦い方自体の問題なのかは、選手、監督を含め話し合っていかないといけない」
こちらは橋本の言葉だ。続けて、チャンスそのものがなかったわけではなく、その数を増やすことが必要だったと改善の糸口を前向きに模索していて、それも小泉の言う技術と判断の問題に昇華していく。
「後半に向けて監督からの指示もありましたけど、（ボランチの）どちらかが中に入っていくとか、もう少し高いポジションを取って前に絡むところも必要でした。ただ、2人でうまく絡めたからこそ、ビルドアップができた場面もあるので、相手を見ながらやるべきでした」
確かに、2点を先行されてからは、小泉と橋本の間を中心にしてボールを動かすテンポを高めたことで、敵陣でプレーする時間を増やした。京都のセンターバック、鈴木義宜も「リードしながら押し込まれて苦しい時間が長かった」と振り返っている。
「重くなったところもありましたけど、それで安定しながら動かせていた場面もあるので、本当に難しいですね。前に人数をかければ後ろに足りなくなって、（つなぐことができなくなって）前に蹴らざるを得ない場面になってしまうことにもなる。ただ、もう少しボランチが前に絡めればチャンスになるシーンも多くあったと思うので、映像を見てしっかり改善していきたいなと」
橋本の中では、2人が横並びになって安定的に動かすことで京都を押し込むことができたという実感と、堅く締めてくる相手を崩すための「その先」を求めるべきだったという悔恨の間で揺れていた。その不安定さを調整して臨むことが、解決策の一つだろう。松橋力蔵監督は、選手たちは、どう動くだろうか。
浦和レッズとの天皇杯準々決勝を挟んで、次の週末のリーグ戦では、名古屋グランパスとのアウェーゲームが待っている。こちらが15位で向こうが16位。勝ち点差は2だから、負ければ順位が入れ替わる。ところが、この重要な「6ポイントマッチ」に、小泉も橋本も累積警告で出場停止なのだ。
だから、2人がリーグ戦の場でこの日の屈辱を晴らすことができるのは、早くても9月15日の第29節になる。相手は東京ヴェルディ。ダービーの舞台で思いの丈をぶつける2人の躍動が見られるか。