中断期間を経て、8月9日に再開した明治安田J1リーグ。第25節で川崎フロンターレとアビスパ福岡が対戦した。川崎Fの長谷部茂利監督にとっては古巣との一戦となったが、2人が退場して苦境に。福岡は合計5ゴールをたたき込んで、敵地での川崎F戦としては2000年以来の勝利を収めた。

上写真=エリソン(左)と奈良竜樹のバトル。局所で肉弾戦が相次いだ(写真◎J.LEAGUE)

■2025年8月9日 J1第25節(観衆:22,062人@U等々力)
川崎F 2-5 福岡
得点:(川)橘田健人、エリソン
   (福)名古新太郎2、上島拓巳、碓井聖生、紺野和也

じっくり大逆転!

 序盤は、およそ3週間ぶりの試合となったフレッシュな川崎フロンターレのものだった。キックオフから優勢にスタートしてゴールに迫ると、わずか4分で橘田健人がきれいにミドルシュートを沈めて、あっけなく先制した。

 しかし、ここから次から次へと大きな出来事が続く。15分、先日川崎Fに加入したばかりでこれがデビュー戦となったフィリップ・ウレモヴィッチが、碓井聖生の足を踏みつけて退場処分に。24分には福岡が左からのFKを名古新太郎がニアに入れると、川崎Fのエリソンが頭に当ててしまいオウンゴールで同点に。

 1人少ない川崎Fだが、29分にまたもリードを奪う。山本悠樹の巧みなスルーパスでエリソンが右に出て、シュートは一度ブロックされたものの、そのまますかさずこぼれ球をニアに打ち切ってゴールにねじ込んだ。ところが福岡も、名古の左CKをニアで上島拓巳がヘッド、またもエリソンに当たってゴールに吸い込まれ、2度も同点に追いついた。

 さらに45+7分、福岡の紺野和也がカウンターで右サイドを突破したところをファンウェルメスケルケン際が倒し、これが2度目の警告となって退場に。川崎Fは2人少ない9人での戦いを強いられることになった。

 そんな数的不利に甘んじることなく、川崎Fは攻めの姿勢を失わない。ボールを持ったら強引にでも相手をドリブルではがしながら押し込み、一発を狙っていく。むしろ福岡のほうが窮屈になったのは、ボールを持つ余裕が増えてスピード感が損なわれたから。

 それでも福岡は67分、左サイドを藤本一輝が突破して橘田に倒され、オンフィールドレビューの結果、PKに。73分、これを名古が落ち着いてGK山口瑠伊の逆を突いて左に蹴り込み、ついに一歩前に出た。

 川崎Fは1点を奪いに前に出ようとするが、疲労は隠せず、逆に福岡が連続ゴール。85分に名古の鋭いくさびのパスから碓井が華麗な反転シュートで突き刺せば、88分には左から藤本が突破してセンタリング、逆サイドに流れてきたボールを紺野がニアに突き刺して、実に5ゴールを積み上げた。

 中2日で厳しい戦いを強いられた福岡にとっては、難しい時間があったものの、数的優位を生かしてじっくりと戦って勝ち切り、25年ぶりの敵地での川崎F戦勝利を持ち帰った。一方の川崎Fは、上位に食らいつくには勝ち点3がどうしてもほしかったが、今季最多の5失点と崩れてしまった。