上写真=2016年11月5日のFC東京U-23対長野でJリーグデビューを飾った久保建英(写真◎J.LEAGUE)
長野の監督として中学生の久保と対戦
横浜FC戦では前半の45分間プレーした久保建英(写真◎Getty Images)
今からおよそ9年前、2016年11月5日のことだった。FC東京Uー18に所属していた久保建英は、FC東京U−23の選手として、Jリーグデビューを飾った。15歳5ヵ月1日は当時の最年少記録。後半のスタートからピッチに入り、45分間プレーした。
そのときの対戦相手は、AC長野パルセイロ(長野は2−1で勝利)。チームを率いていたのが、今回ソシエダと対戦した現横浜FC監督、三浦文丈だった。
ソシエダとの対戦を終えた指揮官に聞いた(スコアは1−2)。
「当時は15歳ですよね。J3とはいえ、プロ選手と戦って随所にいいプレーを見せていた。15歳って中学生ですよ。あんなに堂々とプレーできる選手はいないなと思っていました」
時を経て、再会した久保について三浦監督は、どんな印象を抱いたのか。
「強くなっていますよね。最後、バチバチ行っても全然ブレないし、当たり前かもしれないですが、9年前に対戦したときよりも判断のスピードもスキルのスピードも、そういうものが上がっています。前半は、だいぶ手こずりました」
この日、久保は前半のみで交代したが、右ウイングながら右サイドのみならず中央でも積極的にボールに関わり、チームを前進させた。その姿に、三浦監督は確かな成長を感じたという。
「私なんかが言うことじゃないですけど、(当時の)想像を超えてますよね。これはもう間違いなく、将来日本を背負って立つ選手になるだろうなって思っていたけど、間違いじゃなかった。もう背負って立っていますから」
9年前のあの日、駒沢オリンピック公園総合運動場陸上競技場には同シーズンJ3最多の7653人の観客が集まった。多くの人のお目当てが、中学生である久保のJデビューだったのは間違いない。三浦監督は200人近いメディアが集まったことも含めて「本当にこれはすごいこと。まだ中学生だからね」と驚いていたものだった。
「ソシエダの選手とのスキルに差を感じたし、もっと学ばなければいけないと思いました。(プレスで)はめ切っても剥がされたり。すごくいい経験になりました。この経験をリーグ戦に生かして目標を達成できるようにしたい」
目標とはすなわち、J1残留だ。横浜FCは現在、19位。残留圏までの勝ち点は5ポイント。
久保、そしてソシエダから大きな刺激を受けた今回の試合を、巻き返しのきっかけにしたいと三浦監督は最後に強調した。
取材◎佐藤景
長野時代の三浦文丈監督(写真◎J.LEAGUE)