7月20日の明治安田J1リーグ第24節で、4位の鹿島アントラーズが首位の柏レイソルを迎えるビッグマッチが行われた。チケット完売で大きな注目を集めた一戦は、激しい攻防とドラマチックな展開の連続で、最後は鹿島が勝利をもぎ取ってみせた。
上写真＝鹿島は苦しみながらも3度の歓喜に包まれた（写真◎J.LEAGUE）
■2025年7月20日 J1第24節（観衆：33,400人＠メルスタ）
鹿島 3-2 柏
得点：（鹿）レオ・セアラ、植田直通、松村優太
（柏）小屋松知哉、瀬川祐輔
小屋松知哉が号泣
松村優太がドラマチックな決勝ゴールだ。
90＋4分、柏レイソルの古賀太陽が深い位置からGK小島亨介に戻そうとしたボールがミスになり、詰めていた松村の下へ。落ち着いて小島を左にかわして角度のないところから左足で蹴り込んで、鹿島が劇的勝利をもぎ取ってみせた。
柏にとっては、まさかの黒星。何度も何度もチャンスを作り、2-2から一度は逆転できるはずのPKも、小屋松知哉が左上に外した。そして最後に、再三に渡って素晴らしい守備を見せてきた古賀のミスで勝ち点を取りこぼしたのだから。敗れた瞬間、小屋松は号泣するのを止められなかった。
白熱の戦いの幕開けは、衝撃のゴールだった。5分、中盤でつぶしてこぼれたボールにレオ・セアラが反応、40メートルほどの距離がありながらそのまま鋭いシュートを放ってゴール右上に突き刺し、鹿島が先制に成功する。
ここから多くの時間で柏が主導権を握りながら、次のスコアも鹿島のほう。39分に左からFKを中央へ、古賀にヘッドでクリアされるがそのボールが植田直通に当たってゴールに吸い込まれ、リードを広げた。
緊張感が失われなかったのは、柏がすぐに1点を返したから。43分に久保藤次郎が右外から中に切り込み、一度は引っかかるが垣田裕暉がプレスバック、こぼれたところで小屋松知哉がゴール右のコースを突くパスのようなシュートで送り込んでみせた。
後半に入ると、柏が鮮やかなコンビネーションで鹿島を前後左右に振り回し、足を止めていく。なかなかゴールを割れなかったものの、76分にはついに追いついた。
決めたのは、垣田に代わったばかりの瀬川祐輔だ。ピッチに入って1分もしないうちに、中川敦瑛のスルーパスをきれいに止めて右足を振り抜き、ゴール右に突き刺した。
鹿島は79分に津久井佳祐を投入して4-5-1の布陣にして守備を締めていったが、柏はものともせずに攻め立てて、82分には中川のミドルシュートでPKを獲得した。しかし、小屋松がこれを外してしまう。
このあとも続けざまに柏がゴールに襲いかかり、何度も勝ち越すチャンスを迎えたものの、どうしてもシュートが枠に飛ばない。
そして、最後のシーン。早川友基のロングキックが相手陣内左深くでタッチラインを割るが、スローインを受けた古賀のパスミスから松村が冷静に決めると、仲間にもみくちゃにされて、ゴール裏のサポーターとともに歓喜の瞬間を味わった。