上写真=松橋力蔵監督が言葉で選手たちの心を揺さぶった(写真◎J.LEAGUE)
■2025年7月19日 J1第24節(観衆:35,687人@味スタ)
FC東京 3-2 浦和
得点:(F)遠藤渓太、マルセロ・ヒアン、仲川輝人
(浦)安居海渡、渡邊凌磨
「かっこいい選手たちだな」
およそ2カ月前のこと――。
5月17日のJ1第17節、FC東京はアウェーに乗り込んで浦和レッズと対戦し、2度のリードを追いつかれた上に、90+3分に逆転ゴールを食らって2-3で敗れていた。
「あのとき、どんな試合をしたのか思い出してほしい」
7月19日、松橋力蔵監督はホームでのリターンマッチ当日のミーティングで、選手たちにそう語りかけたのだという。
「決して悪いゲームではなかったけれど、でも最後に我々は力尽きた。だから、このゲームではもう後悔はしないよ、と。結果をしっかり自分たちで手繰り寄せるためにやらなきゃいけないでしょう」
「僕はあんまり、リベンジとかやり返すとか、そういう言葉は使わないんですけど、もうここで言わせてもらおうと。やり返すぞと、絶対やり返すぞ、と」
あまり大言壮語に頼らないキャラクターという自己分析だが、アルビレックス新潟の監督時代から、時折発するストレートで熱い言葉が選手の心を震わせてきた。
ホームに浦和を迎えたこのゲームでは、6分に幸先よく先制した。右サイドバックで起用された長友佑都のクロスに、遠藤渓太がヘッドで触ってゴール左に送り込んだ。ところが、15分に安居海渡に、20分に渡邊凌磨に決められて、あっけなく逆転されてしまう。
そのまま迎えたハーフタイム、松橋監督の言葉がまた熱を帯びた。
「もう舞台は整っただろう」
逆転して今度は自分たちが笑って試合を終える、というストーリー。遠藤はその思いを確かに受け取っていた。
「前回は逆転されて負けてしまった。だから逆に、自分たちが試されているなと。僕たちも前回のレッズのように逆転してやろうと思っていたので、その通りに逆転できて良かったです」
2アシストの長友佑都も同じだ。
「前回やられていたので、自分たちの意地も見せたかったし、FC東京の魂を見せられたと思っています」
この日、ことごとく決定機を逃してきたマルセロ・ヒアンが意地を見せて、長友の折り返しから左足で強引に放ったシュートが相手に当たって吸い込まれ、67分にまず同点。すると88分には仲川輝人がゴール前でしぶとく詰めてヘッドで押し込み、ついに逆転。選手たちは、本当にリベンジを成し遂げた。
松橋監督は強くうなずいた。
「非常にかっこいい選手たちだなと思っています」