自分が来たからこそ防げる失点がある
積極的にコミュニケーションを取ることで、スムーズに馴染むことができたと岡村は話す(写真◎J.LEAGUE)
ーー先ほど、チームのインテンシティーの高さについての話がありましたが、具体的にはどの部分に違いを感じますか。
岡村 例えばボールを待った後の切り替えの早さです。その逆で失ってからボールホルダーに詰めるスピードも速い。それから練習の一つのメニューから次のメニューまでの移動が早いとか。もう全てが早いです。その状態が休みなく続く感じで、緊張感がある。そういうスピード感がチームの文化になっていて、色々な強度が高まっているのだと思います。
僕たちも人間なんで100パーセントの力をすべて出し続けるのは難しい面があるんですけど、みんなが集中するタイミングをわかっている。だから切り替えも早いし、球際も強い。こう言うと何か偉そうですけど、監督やコーチが強く言うところと、選手を尊重、尊敬して言わないところがあって、選手をコントロールしつつもきっちりやらせていると感じます。
ーーここまでのトレーニングと試合を通じて、自分の中で何か変化を感じますか。
岡村 昨年まで所属していた札幌のサッカーは、相手がどういうスタイルであれ、自分たちはこう戦うべきだというスタイルだったと思います。一方で町田では相手がこういうふうに出てくるからこういうふうにしようと、相手の戦い方を見て戦う面がある。どちらが良い悪いではなく、そういう違いの中で自分も戦い方の幅を身につけなければいけないので、その点では変化が必要だと感じます。それと守備に関しては本当に細かくやるので、人に対してしっかり強く付いて相手にやらせないという点や、そのタイミングだったらゴールを見なくても、相手のフォワードをしっかり抑えられればボールを素通りしても構わないという割り切りなど、今まであまり意識してこなかった点も学んでいます。少しずつですけど、引き出しは増えているのかなと思っています。
ーー競争が激しい中でもここまで全試合に先発しています。そのことについてはどう感じていますか。
岡村 まだまだ全然ですね。正直、チームとして5試合で4失点。1試合1失点以下ではありますけど、複数失点した試合もありますし、もっと減らせると思っています。自分が来たからこそ防げる失点というのもあると思っているし、細部にこだわっていかなければいけないと思います。勝てるゲームを落とした感覚もあるし、シーズン終盤になれば得失点差も大事になってくるので、まだ5試合ですけど、一つ一つの失点について突き詰めて同じミスを繰り返さないように、残り33試合を戦っていきたいと思います。試合に出て自分が何を残せるか、チームとして、個人として、どういう結果を残せるかが大事だし、そこを強く意識しながらプレーしていきたい。
ーー現状、3勝2敗で勝ち越していますが、ホームではまだ勝てていません。次節、3月15日のアルビレックス新潟戦には今季のホーム初勝利がかかっています。
岡村 ホーム、町田GIONスタジアムに足を運んでくれる皆さんに勝利を届けられていないのは非常に申し訳なく感じています。見に来てくれるということは、一緒にね喜びを分かち合いたいということだと思うし、新潟戦は何が何でも勝って、一緒に笑顔で試合を終わりたい。チームとしてファン・サポーターとみんなと喜びを分かち合いたいと思います。
ーー今季の新潟にはどんな印象を抱いていますか。
岡村 勝ち切れていないところはあるけもしれませんが、監督が代わってもやっぱり継続して良いサッカーをしていると思います。ただ、勝ちきれていないということは僕らにつけ入る隙があるということでもあると思うので、そこはチームとして逃さないようにしたい。終盤に追いつかれた試合もありましたし、僕らとしては相手が嫌がることを徹底して突いていきたいと思います。そうすれば勝機はあるし、相手の出方を見極めつつ、相手が嫌がるプレーで勝ち点3を取りにいきたい。
ーー最後に、改めて今シーズンの目標を聞かせてください。
岡村 まずはリーグ戦できっちり結果を出して、しっかり貢献して優勝したいと思っています。それからACLもあるので、海外のチーム相手にも町田のサッカーを示したい。海外のチームと試合をする機会が、自分はこれまであまりなかったので個人的に楽しみにしている部分でもあります。今から海外の選手とマッチアップするのが楽しみですし、出るからには優勝したい。ただ出るだけじゃ駄目だし、結果を残してクラブの歴史を築くような成果を残したいですね。
それから個人的な目標としては、シーズンの最後にはJリーグのベストイレブンに選ばれるようなパフォーマンスを見せたいと思っています。自分が選ばれるような働きができていれば、町田が順位表の上にいるということですから。それと、先程も言いましたけど、夏のE−1選手権に臨む日本代表に選ばれたい。優勝争いするチームで力を発揮できていれば、可能性はゼロではないと感じています。日常的に代表レベルの選手とトレーニングする中でその思いが日増しに高まってきました。そのためにもまずはここから町田が勝ち星を積み上げていけるように、しっかり自分の役割を果たしたいと思います。
取材・文◎佐藤景