上写真=今季、J1の5試合すべてに先発している町田の岡村大八(写真◎J.LEAGUE)
練習でも強度の高さはトップクラス
ーー新天地を町田に決めた理由について改めて教えてください。
岡村 やっぱり一番最初にオファーをもらって、正式にレターをいただいたことが大きかったです。それから昨シーズン、J1で3位になった結果に加えて、チームに代表選手を多く抱えていることも僕にとっては大きかった。現在進行系で日本代表でプレーしている選手だけではなく韓国代表やオーストラリア代表もいて、そういう選手たちと日頃のトレーニングから切磋琢磨できることは、自分の夢にまた一歩近づけるんじゃないと思って、移籍を決意しました。
ーーそれはつまり……。
岡村 自分はもっともっと成長しないといけないと思っていますが、今年夏にあるE−1選手権(EAFF E-1サッカー選手権2025/7月に韓国で開催予定)で日本代表に選ばれることを目標にしています。そのためにも各国代表選手がいる町田で成長したいと思いました。
ーー実際にチームに加わってみて、想像通りでしたか、それとも違う部分も?
岡村 率直に言えるのは、最初の練習からもうインテンシティーが高くて、切り替えも早くてそれはそれは衝撃的だったということです。想像以上でした。去年まで所属していた札幌がどうこうというわけではなく、おそらく町田はどのJクラブと比べても切り替えが早さやインテンシティー(強度)の高さはトップクラスだと思います。キャンプもかなりきつかったですし、そういった意味ではこういうトレーニングをしているからこそ、試合でもあれだけのものを出せるんだなと思いました。
ーーでは、逆に外から来たからこそ感じる課題などはありましたか。
岡村 スピードやインテンシティーの高さという素晴らしいものを持っている反面、技術的な部分で見てみると、いわゆる『うまい選手』は少ないのかなと。激しいプレッシャーの中でも、相手の逆を突いたりとか、かわしていったりだとか、そういうところがもっともっとできるようになると、さらに町田のレベルは一つ二つ上に行けるんじゃないかなと感じました。昨季は3位ですけど、勢いとか球際の強さとか、そういうところで戦っていた部分が多かったのかもしれません。その意味ではまだまだ伸びしろがあるわけで、さらに大きく成長できるチームなんだと思います。
ーー進化の過程にあるチームに加わったというわけですね。
岡村 チームとしてはやっぱり戦い方の幅を持っておきたい。ボールを持つ時間が少ないと、夏場の暑い時期だったり、疲労の蓄積によって終盤の失速につながっていくかもしれない。今シーズンはそういう部分も改善しながらやりたいという意識がチームにはありますし、先日の名古屋戦も1パーセントですけど、うちの方がボールを持てていました。実際に改善できている部分はあるのかなと思っています。
ーー前所属の札幌は今、指摘されたような、相手の逆を突くとか技術を駆使してボールを運ぶことに重きを置くチームでした。岡村選手自身の強みとして町田で発揮できる面もありますか。
岡村 フォーメーションやメンバーの違いもあるし、一概に自分がやってきたものをそのまま町田に生かせるわけではないですけど、やっぱり立ち位置だったり、ボールの持ち方一つで仲間を使えたり使えなかったり、スルーするしないだったり、札幌での経験が生きるところは少なからずあります。
そういう攻撃の部分だけではなく、守備の部分でもJ1の選手を相手にしても臆せずに戦えているのも、1対1で相手を潰せるようになったのも札幌での経験があるからです。そのうえで町田ではどういうサッカーを求められているのかについて、黒田剛監督やコーチ陣、チームメイトとキャンプでいろいろと話せました。自分はこういう考えを持っているけど、この局面ではこういうところを見た方がいいとか、そういう部分まで突き詰められた。だから、すんなりチームに溶け込めましたし、スムーズに馴染むことができたと思います。
ーーそもそもオファーを受けたときに、岡村選手のどういう面を求められていたのですか。
岡村 基本的に守備の真ん中で考えているという話はありました。やっぱりJ1には強い選手やうまい選手が多いですし、相手の攻撃で前線に起点を作らせないという仕事、潰す作業をやることが自分の役割だと理解しています。対人の強さについて評価してもらっているので。それからチームとしてボールを持てるときには、しっかりボールを動かしていくことも言われている部分ではあります。
ーー町田に加入して、黒田監督の印象はいかがでしょう。抱いていたイメージとは違いますか。
岡村 昨シーズンは批判されていたケースもありましたけど、僕自身はマイナスな感情を抱いていませんでした。批判の中にはロングスローを多用するということもあった印象ですけど、それもサッカーの戦術の一つですし、否定するというよりも、対戦相手としてどうやって対応するかを考えていたので。使えるものは使って勝利を目指す強い姿勢を感じていました。そもそも手腕がなければ、昇格していきなり3位になるなんて無理な話で、監督としての凄さは結果が示していると思います。
実際、チームに来てからはすごく真っ直ぐというか、真面目というか、はっきりしています。求めることをはっきりと提示していただけるので、選手としてはすごくやりやりやすい。そういうところを尊敬していますし、みんなの前でふざけたりする一面もあるので、なんか怖くて怒っていてという印象を抱く人もいるかもしれませんけど、その意味で言うと、印象は全然違うと思います。僕は最初からコミュニケーションを取ってもらっていますし、とても話しやすい監督だと思います。
1対1の強さに定評のある岡村。町田でも最終ラインで存在感を示している(写真◎J.LEAGUE)