上写真=遠藤渓太(左)と仲川輝人が松橋力蔵監督とともにチームを高めていく(写真◎サッカーマガジン)
「FC東京の良さを合わせようとしてくれる」
FC東京を率いることになった松橋力蔵監督にとって、かつての仲間がいることはアドバンテージになるだろう。仲川輝人と遠藤渓太は横浜F・マリノスのコーチ時代の2019年に一緒にJ1制覇を果たしている。
恩師を迎える形になった2人も、もちろん大歓迎だ。1月11日、初めてのトレーニングの前に行われたミーティングでその声を聞いて、遠藤は「懐かしいな」とかみ締めた。
「ミーティングでリキさんが話していることは、いい意味で昔とあんまり変わってないなって。すごく懐かしさも感じたし、話している内容は別に何か特別なこともないというか、昔と同じようなことを言っているんだけれど、本当にみんなの記憶に残るミーティングだったんじゃないかな」
情熱があふれてくる語り口調は松橋監督の美点で、かつてそれに触れた遠藤でも心に響くものがあったという(「でも、ここでは言わないことにします。小出しにしていきますよ」)。
仲川も松橋監督の実直な姿勢に改めて感じ入った。
「しっかり自分のやるべきことをやる、そういう自身のサッカー観を持っていますし、そこにFC東京の良さを合わせようとしてくれる監督じゃないですかね。その柔軟性もありますし。それに、楽しむときとピリつくときというか、そのメリハリを作れる監督かなと思います」
1月11日の最初のトレーニングでも、選手にメッセージを伝える監督自身に笑顔があふれ、全体練習後にはスタッフとボール回しに興じるように、根っからのボール好き。そんな監督のポジティブな空気を選手たちも感じ取っていた。仲川も「日本人なので、監督の意思が直接伝わりやすいところはあると思いますね」とうなずく。
日本一を経験した3人が再び合流したことは心強いが、新しい戦いの始まりであることも事実だ。仲川も遠藤もまずはチーム内の競争に挑む。
「リキさんは選手個人の良さを出そうとしてくれると思うので、僕は僕の良さを出すだけだと思います」
仲川の言葉の基にあるのは信頼だ。松橋監督が選手の個性を見極めて引き出し、伸ばしていく監督だと分かっている。だから、サッカーへの向き合い方はシンプルでいい。
FC東京で2年目となる遠藤も目を輝かせる。
「また一から競争が始まると思うし、みんなギラギラしていると思います。本当にいい選手がいるので、どれだけいいサッカーをして勝つか。最高の準備をしたいですね」
「日本一トリオ」が青赤を頂点に導くための戦いが始まった。