FC町田ゼルビアの10番を背負うナ・サンホがFC東京とのダービーマッチを前にインタビューに応じた。古巣への感謝の思いを語るとともに、「可能性のある限り全力で戦う」とタイトル獲得へも強い意欲を口にした。国立競技場でチームに『歴史的な初勝利』をもたらすことができるか?

11・9国立決戦は本当に重要な試合

9節のFC東京戦で今季初ゴールを決め、ナ・サンホは勝利に貢献した(写真◎J.LEAGUE)

ーーFC東京を離れることになったとき、いずれまたJリーグで戦う機会を得たいと思っていたのですか。

ナ・サンホ 明確にJリーグに戻ってくるという目標は、あのときは持っていませんでした。東京を離れたのは新しいチャレンジを必要とする状況だったからですし、次の場所で活躍することに集中していました。その後のキャリアについては当然、ヨーロッパでプレーすることも視野に入っていましたし。その中でチャンスがもらえたのがJリーグのチームだったということです。いまは町田で常に最善のプレーを見せたいと思っています。

ーー町田に入ることが決まったときの心境を改めて振り返ってもらえますか。

ナ・サンホ FC町田ゼルビアというチームは、話を聞く中でリーグの中でも革新的な存在であると分かりましたし、将来のビジョンも含めて大きな感銘を受けました。J2を圧倒的な力で優勝したチームで、J1で戦いたいと思いましたし、素早いカウンターというストロングがあり、自分の持ち味を生かせるのではないかと思いました。

ーーここまで一緒に戦ってきた黒田剛監督は、ナ・サンホ選手から見て、どんな指導者ですか。

ナ・サンホ 細部までしっかりこだわる方だと感じます。選手、チームに対する要求が高いですし、ピッチ上に関しては妥協のない厳しい方です。ただ、冗談を言い合うときもありますし、メリハリがある。徹底する部分と緩めるというか、オフの部分もあって、そういう方のもとでプレーできていることを、とてもうれしく感じています。

ーーシーズン序盤から終盤にかけて首位争いをしてきましたが、残り3試合の状況で少し足踏みしてしまいました。残り試合について、どんなことが重要になるでしょうか。

ナ・サンホ 残り全てが大事な試合になるのは当然ですし、数字上は優勝の可能性も残されています。可能性がある限り、それを目指すのは当たり前ですし、FC東京戦も強く勝利を求めて戦います。

ーーこの状況で国立競技場で、古巣と対戦するということについてはいかがですか。

ナ・サンホ 本当に重要な試合になると思います。我々は国立競技場で勝てていませんが、こういうビッグゲームでそういう状況を打ち破りたいと思っています。FC東京には前回の対戦で勝つことができましたけど、本当に能力の高い選手がそろっているので、チームとして共有するものをしっかり共有して、勝利に向かって一丸となって戦いたいと思います。

ーー国立競技場では、過去3戦して1分け2敗です。国立で勝てないのはなぜなのでしょう。

ナ・サンホ 理由は一つじゃないと思いますが、自分の中で感じるのは、多くのファン・サポーターがいる状況を、まだまだ楽しみきれていないのではないかということです。気持ちの面で、楽しめることができれば、という思いが自分の中にはあります。今回はダービーですし、緊張感は持ちつつも状況をポジティブにとらえて戦いたいです。

取材◎佐藤景(フリーライター)

ナ・サンホ/1996年8月12日、韓国出身。2017年、光州FCに入団し、翌年から10番を背負って16得点5アシストを記録し、Kリーグ2部のMVP、得点王をダブル受賞した。2019年にFC東京に加入し、25試合2得点。翌年は城南FCにレンタル移籍し、21年にFCソウルへ完全移籍を果たすと、3シーズンで104試合出場し、29得点14アシストを記録した。24年にFC町田ゼルビアへ完全移籍し、ここまで24試合で3得点2アシストの成績を残している。173センチ、70キロ

11月9日、FC町田ゼルビア対FC東京の情報は下記のバナーから!

zelvia.jp